解説
メイン州の小さな町に住む4人の少年、ジョンジー、ヘンリー、ピート、ビーバーはある日、風変わりな少年ダディッツを助ける。4人はその時、ダディッツから彼の持っている不思議な力を分け与えられ、以後その秘密を共有することで強い絆が結ばれる。20年後、大人になった4人にとってそのパワーは今では重荷として彼らにのしかかっていた。そんなある時、ジョンジーが交通事故で重症を負うが、奇跡的に一命を取り留める。やがて4人は北方の森にある狩猟小屋で再会を果たす。それは彼らにとって毎年恒例の楽しいイベントのはずだったが…。
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映画レポート

「ドリームキャッチャー」─破ってはいけない、キング映画化の掟
Q:スティーブン・キングの映画化で、もっともやってはいけないことは何か。
A:原作をそのまま映画化すること。
ある特殊な力を持った子どもたちが大人になり、何かに引き戻されるように故郷の町に帰ってくる。彼らは人類の命運を決するある役割を担っていた――というわけで、スティーブン・キングとしては長編「IT」を思い出させる話である。これを、ノスタルジックな同窓会映画の佳作「再会の時」を作ったローレンス・カスダンが監督する、というのはわからない話ではない。だが、カスダンはやってはいけないことをやってしまった。
キング映画化が往々にして失敗するのは、原作の多くが長大な小説で、そのままでは2時間の枠に収まらないからだし、圧倒的な筆力によってねじ伏せるように書かれているものを、ただ映像に置き換えても説得力に乏しいからである。そのまま映画化すれば、詰め込みすぎでわかりにくい、意図のはっきりしない作品になるのは当然だろう。
01年に発表された原作は、キッチュで悪趣味な侵略SFの寓話として書かれており、そこには交通事故で死にかけたキングのささやかな悪意まで感じられるのだが、カスダンの演出力の弱さは、それを伝えてくれない。(添野知生)
丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にて公開中
[eiga.com/4月22日]
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2003年4月22日 更新