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マーサの幸せレシピ (2001)

BELLA MARTHA/MOSTLY MARTHA

監督
サンドラ・ネットルベック
  • みたいムービー 182
  • みたログ 1,217

3.86 / 評価:285件

美しい恋愛映画

  • bar******** さん
  • 2017年1月19日 22時54分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

マーサの幸せレシピ。ようやく見ることができた。あ、ぼくは男です。

昔、レンタル屋で「幸せのレシピ」をかりたことがある。ご存知アメリカのリメイク版だ。どうして借りたのか……ちょっと思い出せない。たぶん単純に名作を見たかったんだろう、メモリアルな作品になると思って借りたのだ……で、結果はあまりよくなかった……

何故か。まずぼくが彼女のいない男だってこと。それともう一つ……こちらのが重要だが、過度に料理の味付けをアメリカ人好みに変えてしまったからだ。

アメリカ人には料理の勘どころが分からないか? ……あの作品を見る限りそうだろう。このドイツの原作「マーサの幸せレシピ」は恋愛映画としてはかなり上質だ。

まず良いところを挙げると、こちらは等身大の人間が出てくる。マーサは仕事のできるシェフだが、人間性にやや問題を抱えている。たぶん仕事一筋だからだろう。江戸の下町職人みたいな頑固な一面がある。お相手のイタリア人はその点柔軟で物腰も柔らか、こんな一徹な女性には理想の相手だ。ここまではほとんどリメイク版と同じだ。しかし決定的に違うのは、「暗さ」と「重さ」だ。

主人公マーサには影がある。彼女の性格に問題があるのは事実だが、それを単なる役の特性として描くのか、一人の人間として、人間なら誰でも持っている「暗闇」を背景にして、パースペクティブの中で丁寧に形づくっていくのか、これは製作者の手腕の問題でもあるとともに、視聴者の想像力の深さの問題でもあるだろう。もちろん作り手だけが馬鹿だったわけではない。

重さと暗さの裏打ちがあってこそ説得力のある人物を造形することができる。姪のリナもこの映画では重さと暗さを協調して造形されている。といっても全体のロマンスに甚大な影響があるほどではない。全体的には明るくて地に足が付いていて、平和的な恋愛映画だ。

恋愛映画。そう恋愛映画だった。またもぼくは同じ失敗をしてしまった……かつて「幸せのレシピ」を見たとき、この原作版を知った。あまりにもおかしな映画だったからだ。そこで原作版の評価を見て、より文学的な映画だと勘違いした。確かにリメイク版より優れた映画であるが、ぼくは致命的な間違いを犯した。まだ、彼女はいなかったのだ……

この映画は素晴らしい映画であるが、間違いなく男がひとりで見るべき映画ではない。どちらかといえば、仲の良い女の子同士で見て欲しい映画である。ぼくは生理学的に無理だけど。

男として楽しめるポイントは、たくさんの美味しそうな料理! 料理は女がするもんだ、なんてカビの生えた思想は死滅すればいい。この映画を見ると料理がしたくなる! そして食べたくなる! ああ、もっと料理のシーンがあれば最高だったのに!

ところで、姪のリナだが、彼女はちょっとこの恋愛映画というジャンルの罪な部分の影響を被ってしまっている。つまり、ちょっとご都合主義なところがある。作為があると言えばいいのだろうか、自然な造形がされていないと感じてしまった。彼女が主人公のマーサと喧嘩してしまうシークエンスがある。ここで彼女の悲哀、母を失ったことへの悲しみが強調されるわけだが、ここのリナの造形がどこか変だ。大人から見た子供、という感じがする。ぼくは本来、子供というのを、大人という枠組みを使っては決して測りきれない、一人の現実の存在だと感じている。彼らは独自の思考を持っている。一人一人の考え方の違いは、こちらが舌をまくほどである。リナはリナなりに喪失と孤独の表現をするべきで、大人たちに理解しやすいように振る舞うべきではない。ただ、これは大人が主人公の恋愛映画なので、ある程度のご都合主義は仕方ない。ただこの子供を殺してしまったのは、少なくとも成功しているとは思えない。

おおまかに見れば★5だが、細かく見ると★4.4くらいだろうか? メモリアルな作品とまでは行かないが、間違いなくいい映画である。

詳細評価

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音楽

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