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ラスト サムライ (2003)

THE LAST SAMURAI

監督
エドワード・ズウィック
  • みたいムービー 986
  • みたログ 1.7万

3.59 / 評価:2,056件

ハリウッド製サムライ幻想曲。

  • 晴雨堂ミカエル さん
  • 2007年9月3日 2時32分
  • 閲覧数 3227
  • 役立ち度 62
    • 総合評価
    • ★★★★★

 映画館で観たとき、まず思ったのは「なんじゃこりゃ、いじりすぎや」だった。前評判では西郷隆盛が1万数千の兵を率いて政府に戦を仕掛けた明治10年の西南戦争が舞台だと聞いていた。ところが内容があまりにも史実とかけ離れすぎていることに違和感を持った。次にいくら史実を基にしたフィクションだとはいえ、明治時代なのに渡辺謙氏らが扮するサムライたちの時代錯誤的甲冑姿には嫌悪感を抱き、いくら映画だからといってサムライたちの弓矢が政府軍のライフルに勝る描写を見て、やり過ぎだと感じた。個人的には下手にサムライを強調したファンタジーにはせず、史実に忠実な作品にしてほしかった。(余談1)

 ただ、評価できる部分もある。かつて「将軍 SHOGUN」という米制作の時代劇があった。これは家康に仕えたイギリス人ウイリアム=アダムスをモデルに創ったフィクションだったが、内容は珍作といってもよい出来で日本文化の無理解が甚だしく、公開当時から駐日の米ジャーナリストや親日の米知識人からも失笑されていた。(余談2)単なる悪趣味奇天烈な日本モドキを描写するだけの作品に比べると、「ラストサムライ」にはキチンとしたテーマがある。
 侵略する側とされる側の関係、近代化の波に翻弄され見捨てられる存在、グローバルスタンダード化の弊害、現代世界が直面している同種の問題に、作中の渡辺謙氏扮する勝元参議とトム=クルーズ氏扮するオルグレン大尉が苦悩しているのである。これが物語の軸になっているため、佳作の域に入っている。

(余談1)ただ、西南戦争の前年に熊本士族が県や鎮台を襲った「神風連の乱」では、刀剣で熊本城に駐屯している政府軍を襲って一時的に占拠に成功している。NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」では具足姿で突撃していた。

 突っ込み箇所は無数にあるが、逆に好意的評価をするべき部分もある。
 まず自毛の生え際を生かした丁髷メイクはグッドである。
 明治の横浜の描写は時代劇を見慣れた方には違和感があるかもしれないが、当時の写真から推察すると、むしろ実像に近いのではないかと思う。
 中村七之助氏扮する明治天皇はいかにもそれらしかった。公の場ではフランス式肋骨軍服を着て、普段着は指貫姿(宮司の略装みたいなもの)なのも良い。赤い指貫はいただけないが。
 政府軍の装備が、最初は幕末の薩長軍の様式で銃はマスケット、後半は明治の軍装になりライフル銃にガトリング砲、時期は誤っているが時系列は合っている。
 後半のよく訓練された軍隊は全て日本人エキストラだそうだ。兵役が無く学校の体育も厳しくなくなった環境で育った日本人をよく訓練している。
 最後の決戦前、トム=クルーズ氏が小雪氏に甲冑を着せてもらう場面があるが、きちんと鎧直垂を着せていた。これもグッド。
 トム=クルーズ氏の殺陣もグッド。あの「トップガン」や「カクテル」のイケメン俳優が、日本の平均的な俳優よりも素晴らしい殺陣を見せてくれたのは感動だった。
 因みにショーン=コネリー氏が「007」で日本人に変装したり、レナード=ニモイ氏が「スパイ大作戦」で白塗りの歌舞伎をやったのは大笑いだったが、トム=クルーズ氏の侍姿は格好いい。

(余談2)島田陽子がヒロインとして出演していて、当時は「国際派女優」などと持ち上げられていたが、その後の活躍はイマイチ。話題となった写真集はつい買ってしまった。
 
 

詳細評価

物語
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