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ラスト サムライ

ラスト サムライ

THE LAST SAMURAI

154

sou********

5.0

桜吹雪に想う自分自身のアイデンティティ。

公開当時、何度も劇場で観た。 あの頃の感情が何だったのか…。今も感じるものがあるのだろうか…。 そんな気持ちで、改めて鑑賞。 そもそも、当時流した涙の意味さえ思い出を語る事が出来ない僕に、この映画について今更言葉に出来るのか? 時を経たら、思いは変わる。自分自身の感情をもう一度確かめたかった。 結論から言えば、やはり泣くのだ。 何故に、誰に、どんな想いに心が涙するのか…。 南北戦争の指揮官が近代化を目指す日本で軍事指導する物語。彼が侍の生き様に触れて、日本人が忘れつつある精神性を思い出させる。 僕は、この物語のアイデンティティへの回帰が好きだったのだと思う。 また、リスペクトの精神性が溢れている。 勝者が敗者の心に敬服する。尊敬の念があり、生き様を認める物語でもある。 コントラストとして、オーウェンが任務とはいえ先住民の女性や子供を虐殺した過去があり、不名誉を抱えて苦悩する姿を描く。 また、オーウェンに戦場で夫を殺された妻(たか)に、負傷したオーウェンの世話をさせる事で、互いのわだかまりを含有しながらも心の傷やリスペクトを回復させる姿を描く。 名誉を傷付けられたオーウェンとたかの関係性は、ある種、右の頬を打たれたら左の頬を差し出すような話で、キリスト教の聖職者のような精神性が必要だと思う。わかりにくい設定故に、たかの心を思えば泣けてくる。 だからこそ、「それぞれの役割を果たした上の結果」と、オーウェンが戦場で夫を殺した行為を消化する、たかの心には胸を撃たれる。夫の鎧を引き継がせるシーンは何とも複雑で、何とも言えない涙が溢れてしまう。苦悩と克服と受容があり、ちょっと余計に思える愛の芽生え。一言余計だが、個人的にキスシーンなしの方が良いと思うが、外国人に観せるには必要な演出でしょうね。 ロケ地はなんだか怪しいけれど、自然環境に順応し八百万の神と天皇陛下崇拝の中で過ごしてきた日本人の、忍耐強さと強かさや美意識を含めた精神性を描いてくれた外国作品が、当時の僕にとって嬉しかったんだろうなぁ…と思う。 渡辺謙と真田広之がトム・クルーズと対等に渡り合ってるのも誇らしかった。オマケに小雪はキスするし!まぁ、この想いも時代でしょうが…。 何より、勝元の最後にカットインする桜の美しさに、日本人の生き様を作品としてリスペクトしてもらえた気がしたのだと思う。 だから、好きな映画なのだと思う。 ただ、印象がシーンを美化し過ぎるのか…あの桜は、ほんの数秒のカットインだったと驚いた。僕のイメージの中で、下手すると1分近く桜吹雪に画面が満たされていたのだ。 桜を愛する気持ちも、アイデンティティの一つなんだろうなぁ…。

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