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U・ボート (1981)

DAS BOOT

監督
ウォルフガング・ペーターゼン
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  • みたログ 1,752

4.19 / 評価:603件

潜水艦映画としては最高

  • bar******** さん
  • 2020年8月15日 23時57分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

U・ボート。

単純に「見ることができてよかったな」という映画。

戦争の恐ろしさを描いた映画としては、市川崑の『野火』(これが自分の「戦争の一番怖い映画」)に並ぶ。ただ潜水艦の映画というと非常に珍しいし、それならではの特別な状況もきちんと描いていて、本当に一度は見るべき映画になっている。

潜水艦って、よく知らなかったけど、こうして見ると、本当に「棺桶」だなって。

爆撃を受けるシーンがすごく恐ろしい。みんな衝撃に耐えて、あちこちが破損していくのを、必死に直している。どこにも逃げられない。潜水艦だから。

序盤の水圧テストのシーンがある。

その時の乗組員の顔を見てみると、この映画がなんでこんなに評価が高いのかっていうのが分かる。潜水艦に命を託した人々って、単純に逃げ惑うこともできないし、陰に隠れて一息つくこともできない。失敗すれば絶対に死ぬ。なぜなら海底だから。だからどこか祈るような雰囲気がある。

潜水艦の壁が「ドン!ドン!」と大きな音を立てる瞬間、緊張がすごく高まる。みんな黙ってどこかを見ている。汗をだらだらかきながら、目を大きく開けて、どこかを見る。でも何もしない。どこにも逃げられないから。

その表情がこの映画の一番のシーンというか、そこにこの作品の全てが詰まっていると思う。

正直、映画の完成度としては「名作レベル」ではないと思う。長回しがすごく多くって、沈黙のシーンだけでもかなり長く取る。そしてそれが多い。しかも場面はずっと暗い潜水艦の中だから、退屈になる瞬間は結構多い。

監督は詳細に描こうと努力しているけど、それを作品にまとめ上げて、他者に見せるという視点は欠けていると思う。岡本喜八の『日本のいちばん長い日』という映画があるけど、その欠点とよく似ている。あっちの方がもっと退屈だけど、監督の志向性は似ている。

ラストも自分は、ああする必要はなかったと思う。ただあれで「戦争は恐ろしい」「戦争は無意味だ」と思ってくれる人はいると思うけど、それはもうそこまでの過程で十分描かれていたから、単純に別の結末でも良かったと思う。だいたいあの状況、ちょっとおかしいと思うし(どうしてあんなにあっさり懐に入られてしまったのか)、軍事基地が一瞬で壊滅するという「非現実性」がそこで入ってきてしまう。

あのせいで、作品のメッセージが「戦争の実態をリアルに描く」という具体的なものから、単純な「戦争の愚かさ」とか「戦争に英雄なし」とかいう抽象的なものになってしまって、メッセージ性が弱まっている。そしてそれが弱まったことにより、監督のメッセージの押しつけがましさが強くなってしまっている。

モデルとなった実話とも筋書きが違うし、これは単純に監督の手落ちだと思う。

なので、あとちょっと惜しかったかな、ただそれでも見た方がいい映画だと思うし、結構面白かったかなと思う、というのが総評。

あの「いつ自分は死ぬんだろう」っていう極限の緊張感は、他の映画にないものだと思うから、ぜひそれを見て感じて欲しい。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 恐怖
  • 切ない
  • かっこいい
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