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六月の蛇

六月の蛇

A SNAKE OF JUNE

77

wqp********

4.0

「人間らしさ」を思い出させる作品

梅雨の東京。セックスレス夫婦の妻・りん子のもとに、彼女自身の自慰行為を盗み撮りした写真と携帯電話がとどく。電話カウンセラーとして働く彼女の言葉で自殺を思いとどまった男・道郎からの狂った脅迫。その日から、りん子の恥辱と恐怖に満ちた日々がはじまる。 非常に良かった。 正直、初めて塚本晋也の作品を見るが、かなり面白かった。 映像的には、溺死の殺しの場と、女がシャッターをきられまくるあの空間をつくれる彼に驚き嫉妬してしまった。 この映画を見るときに、視聴者は、性というものの見方を、主人公のりん子と共に変化させられてしまう。 はじめはりんこのように、性欲というのが醜いもので、性欲を露出するというのは、汚らしく、正しくない行為のようにみえてしかたない。 映画の前半~中盤にかけては、興奮とも軽蔑ともつかないような目でストーリーを追っていくことになる。 しかし、後半になるに従い、性、セックスというものの重要さと、清さ、美しさが、りんこの夫への行動と共に見えてくるようになる。 そして美しいラストへと繋がっていくのだ。 塚本は、この作品の中で欲望を抑えきってしまう理性の現代社会に警笛を鳴らすと同時に、本来人間に備わるべくして備わっている性欲、そして性の美しさを浮き彫りにしてくる。 すなわちこの作品は、塚本晋也の、『人間らしさ』を取り戻すための極上の一本に他ならない。 余談 ラスト前の銃を打つ展開の部分、あれはよくわからなかった。

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