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六月の蛇
上映中

六月の蛇

A SNAKE OF JUNE

77

mii********

3.0

女性に観てほしい、塚本エロス。

雨。 降り続ける、六月。 六月の雨は粘り、まとわりつきやがる。 冷たさは感じないが、知らぬ間に滲みこんでくる。 そんな東京の梅雨・・・・・。 アンニュイな、ひとりの女の芯に密かに蠢く蛇が、 全身に打ち付ける雨に誘われ、ついに目覚め暴れだす。 この衝撃なるブルー・モノクロ映像はとても刺激的だ。 人間の表さない奥底に秘めた感情を描く作品には良く合っている。 けしてこのブルーフィルムは、作品をイメージした雨を表すだけじゃないと思う。だって、この冷ややかな映像と、やがて巻き起こる情念の昂りにはぴったりだからだ。 全篇に降り続ける雨・・・・・。 降り続ける雨の音がこんなにも排他的な淫靡さをかもし出すなんて知らなかった。雨音に混じる喘ぎ声と青い世界がエロチック。まさに監督の狙いはここにあるのだろう。 雨が路面を叩きつける音。カメラのフラッシュ炸裂音。排水溝にのみ込まれる雨水の音。これらは、ふだんならば耳につく、言わば雑音になりかねないが、本作では逆に画面に釘付けにしてしまうアイテムだ。これぞ演出の妙なのか。 胸糞悪くなるほどの潔癖症の旦那。 じとじと迫りくる恥辱の限りの脅迫。 塚本作品にみる独特の危険な暴力も不快感を増す。 しかしだ、これらを全て差し引いてしまうほどの女優の力をみた。 ?黒沢あすか?壊れていく女を実に見事に演じきっています。 人間の誰もが隠し持っているメラメラと燻ぶる情念の炎。 もしも、あなたが秘密を覗かれ、他人に暴かれてしまったら・・・・・ 操られる精神、満たされぬ欲望の果てにとってしまう行動を、美しい究極のエロスを味あわせてくれる演技で良作に変貌させてしまった彼女。そんな?黒沢あすか?を称賛したいものだ。 すべては雨中の“悦なる微笑”で救済されるのである。 塚本晋也監督の気になる作品群の中では、より一層彼の魅力を前面にぶつけてくる映像だった。現代社会に住み食う孤独感を味わってほしい。 マニアックな作品ですが、衝撃的な「りん子、雨中の自慰シーン」だけでも鑑賞に値します。 都会の梅雨空、洪水の如く降りしきる雨の中に、傘をさしてたたずむ女を見かけたら、 そっと、リモコンのスイッチを押してあげましょう、そう彼女の為に。 いや、あなたの為にかな・・・・・。

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