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過去のない男 (2002)

MIES VAILLA MENNEISYYTTA/L' HOMME SANS PASSE/THE MAN WITHOUT A PAST

監督
アキ・カウリスマキ
  • みたいムービー 201
  • みたログ 848

4.03 / 評価:195件

解説

 ある日列車に揺られ、夜のヘルシンキに流れ着いた一人の男。公園のベンチで夜明けを待っていた彼は突然暴漢に襲われ、瀕死の重傷を負う。男は病院で奇跡的に意識を取り戻すが、過去の記憶を全て失っていた。身分証もなく、自分の名前すらも分からない有様。しかし、幸運にもそんな彼にコンテナで暮らす一家が手を差し伸べ、男は彼らと共に穏やかな生活を送り始める。そして救世軍からスープが振る舞われる金曜日。男はコンテナの主人に連れられ支給場所へとやって来る。そこで男は救世軍の女性イルマと運命的な出会いを果たすのだった…。

allcinema ONLINE (外部リンク)

映画レポート

「過去のない男」─今回のカウリスマキは見事にひと皮向けている

カウリスマキの新作でまず意外だったのは、彼が「浮き雲」に始まる3部作の2作目としてこの作品を撮ったということだ。彼は以前、「浮き雲」を例外的な作品のように語っていた。フィンランドが深刻な経済危機に見舞われ、国中が絶望に覆われるなかで、彼がその問題を見つめようとしたのが「浮き雲」だった。そのドラマがハッピーエンドなのは偶然ではないし、彼はこの作品を、唯一のソーシャル・セラピー的な映画と説明していたのだ。

カウリスマキは過去に、「パラダイスの夕暮れ」「真夜中の虹」「マッチ工場の少女」からなる“敗者3部作”を作っているが、それと新しい3部作ではドラマと人物像に明らかな違いがある。敗者3部作で逆境に追いやられた主人公たちは、どこかにある楽園を夢見つつも、最終的にそこに至ることはない。これに対して、同じように逆境に追いやられる新たな3部作の主人公たちは、人間としての誇りに目覚め、あるいは最初からそれを守り通し、自分たちの足下に楽園を見出していく。

カウリスマキは「浮き雲」については、そうした理念を打ち出したことにいくらか戸惑いを感じているようにも見えたが、新作では完全に吹っ切れ、見事にひと皮剥けている。(大場正明)

ユーロスペースにて公開中

[eiga.com/3月18日]

映画.com(外部リンク)

2003年3月18日 更新

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