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スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする (2002)

SPIDER

監督
デヴィッド・クローネンバーグ
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  • みたログ 298

3.44 / 評価:64件

解説

 ロンドンのとある駅に降り立った一人の男・デニス。彼は精神療養施設を退院させられ、20年ぶりに故郷へ戻ってきたのだ。社会復帰ができるまで患者を預かるという施設で、ウィルキンソン夫人に迎えられ、さっそく部屋をあてがわれたデニスは鞄の中から1冊のノートを取り出す。これには彼の陰惨な過去が書き綴られていた。少年時代のデニスは、糸を張りめぐらせるクモの話が大好きだったので母親から“スパイダー”と呼ばれていた。配管工の父はいつもパブに入り浸り、やがてパブの娼婦イヴォンヌと不倫の関係になってしまう…。

allcinema ONLINE (外部リンク)

映画レポート

(C)2002 Spider Productions Limited/Spider Film Limited All rights reserved.
(C)2002 Spider Productions Limited/Spider Film Limited All rights reserved.

「スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする」─今回もきっちりクローネンバーグの世界

きみの見ている世界とぼくの見ている世界は違う。デビッド・クローネンバーグの映画を一言で説明するとすればこうなる。主観的世界と客観的現実の衝突をテーマに映画を撮りつづけて30年。クローネンバーグも同じ作業に没頭する職人よろしくいつの間にか枯淡の域に達しつつある。頭も爆発せず、腹にバギナもできない最近のクローネンバーグ映画を地味だと感じる向きもあるだろうが、そこは心のゆとりで名人の筆先──ミランダ・リチャードソンの微妙な演技とかタイトル・バックの壁紙の美しさとか──を楽しんでいきたいものである。

今回新たな現実を見いだすのはシャツの重ね着がキュートな中年男スパイダーである。スパイダーは一冊のメモ帳を持ち、そこに自分が少年時代に目撃したことを書きつけていく。だが記憶は決まったものではない。記憶は暗示や錯誤からたやすく捏造されてしまう。人間は悪魔主義者に幼児虐待されたことも、UFOにアブダクトされたこともたやすく思い出してしまうのである。記憶は過去を作る。現在=現実はその過去の上にのっかっている。自分の過去が信じられなくなったら、何が信じられるというのか? そのときスパイダーが味わう現実崩壊は、これまであまたのクローネンバーグ映画の主人公を襲ったのと同じものなのだ。(柳下毅一郎)

3月29日より、ニュー東宝シネマほか全国東宝洋画系にてロードショー

[eiga.com/3月25日]

映画.com(外部リンク)

2003年3月25日 更新

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