解説
ダイアナ・ウィン・ジョーンズの著書「魔法使いハウルと火の悪魔」を基に、少女と魔法使いの恋をとおして、生きる楽しさや愛する歓びを描いた宮崎駿監督最新作。呪いをかけられ90歳の老婆の姿になってしまった18歳の少女ソフィーに倍賞千恵子、動く城の持ち主で魔法使いのハウルに木村拓哉、そしてソフィーに魔法をかける荒地の魔女に美輪明宏と豪華なキャストが声で参加。『千と千尋の神隠し』で「いつも何度でも」を歌い上げた木村弓の楽曲「世界の約束」を、映画主題歌として倍賞千恵子が歌う。
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あらすじ
父親の帽子店で日々、帽子を作りつづけていた18歳のソフィーは、ある日、荒地の魔女に呪いをかけられ90歳の老婆になってしまった。ソフィーはハンサムだが弱虫な魔法使いハウルと出会い、奇妙な共同生活を始める。
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映画レポート

「ハウルの動く城」美しき妄想力と老人力があふれる宮崎駿の“アフター9・11”
映画は気力と体力と妄想力である。特に妄想力。この力で映画の面白さは決まる。宮崎駿は大いなる妄想力の持ち主だ。その最たるものが妄想力全開の「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」である。が、2作品とも妄想力に比例にしてメッセージ性も強くなっていて、少々、居心地の悪いものがあった。「ハウル~」も正直、不安はあった。また説教されるんじゃないか!? でもそれは杞憂に終わった。
「ハウル~」はたまらなくキュートでつつましくて、それでいて生命力にあふれた物語だった。そう、これは宮崎版「オズの魔法使い」なのだ。90歳の老婆に変えられた少女も本当は臆病な魔法使いも火の小悪魔もカブ頭のカカシも、みな本当の自分を、自分の居場所を探している。彼らは動く城に集い、小さな家族をつくる。それぞれの魔法を解くのはかけがえのない人からのキスとぬくもり。「おうちがいちばん」とドロシーはいったが、ハウルの城の住人たちはこういうだろう。「家族がいちばん」。
宮崎の立ち位置はいつもよりずっと後ろにある。「戦争」を背景に描きながらも、前に出過ぎず、メッセージを叫ばず。けれども物語のなんと豊かで多弁なことか。宮崎の“アフター9・11”には美しき妄想力と老人力があふれている。 (三留まゆみ)
11月20日より、日比谷スカラ座1ほか全国東宝洋画系にてロードショー
[eiga.com/11月17日]
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2004年11月17日 更新