解説
俳優志望のトッポはある時韓国に渡るが、ヤクザに出会い、その組織の用心棒となる。しかし、いざ組織同士の抗争が始まるとトッポはすっかりビビってしまい、組員を巧みに騙してとっとと日本へと帰国する。横浜に戻ったトッポは、友人の勧めで今度はサギ師の世界へ。そしてある日、トッポのもとに大きな仕事が舞い込んでくる。それは金額にして30億は下らない財宝を強奪する、という大掛かりな計画だった。だがトッポたちが綿密に計画を練る中、韓国のヤクザたちが裏切ったトッポを追って日本に上陸していた…。
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映画レポート

「ROUND1」─重厚な映像で綴られる、ユルい詐欺師の物語
元・ボクシング世界チャンプの畑山隆則にアテ書きして書かれたという主人公は、役者を目指し単身韓国へ渡ったはずなのに、なぜかヤクザになっていたという在日韓国人のトッポ。浅知恵で組仲間をダマして日本に舞い戻ったはいいが、まともな職に就けるはずもなくチンケな詐欺師に……というなんとも情けない役柄。しかしこれが、本人にははなはだ失礼なのだが、絶妙なハマり具合。例えば、セコい手口の詐欺を次々こなし、知り合った女詐欺師に講釈をたれるくだり。「どう、オレってすごくない?」と粋がったところが実は自分がダマされていた、なんてお約束な展開にも思わず目を細めてしまうほど、うだつのあがらない男がぴったりなんである。
そんな畑山にうまく合いの手を入れているのが、韓国ヤクザ、パク組の若頭を演じるカン・ソンピル。ごつい顔で義理人情に厚く、口より先に手が出るタイプなんだけど、惚れた女の前では口もきけないほどシャイなやつ。そこに、「友へ/チング」のスタッフが全員集合したという重厚な映像が重なって、昭和の古き良きヤクザ映画の匂いがそこはかとなく漂ってくる。「ユルい」という形容詞が褒め言葉になる、そんな映画もあるんです。(編集部)
3月1日より、銀座シネパトスほかにてロードショー
[eiga.com/2月26日]
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2003年2月26日 更新