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エデンより彼方に (2002)

FAR FROM HEAVEN

監督
トッド・ヘインズ
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3.55 / 評価:181件

D・サークに愛をこめて…

  • 一人旅 さん
  • 2018年7月8日 15時48分
  • 閲覧数 328
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

トッド・ヘインズ監督作。

1950年代後半のコネチカット州を舞台に、上流階級の主婦の心の揺れを描いたドラマ。

『ベルベット・ゴールドマイン』(1998)『キャロル』(2015)のトッド・ヘインズ監督によるシリアスな人間ドラマの佳作で、ドラマティックな音楽と原色的色彩感覚、ファンション・自動車・インテリア等50年代アメリカの情景を緻密に再現したクラシカルな映像作り、また一つの家族における葛藤と変転に真摯に向き合った作劇は、50年代に上質で泣けるメロドラマの名作を連発したダグラス・サークに対するオマージュを見て取れます。物語の下敷きになっているのはサークの傑作『天はすべて許し給う』(1955)ですが、ヘインズ監督は50年代には描き切れなかった当時のアメリカ社会の禁忌をテーマに取り入れています。

公民権運動が盛んだった1957~58年のアメリカ東部コネチカット州ハートフォードを舞台に、二人の子を持つ裕福な家庭の妻:キャシーが、会社重役の夫:フランクの同性愛を知り狼狽えるが、一家が新しく雇った黒人の庭師:レイモンドだけは傷ついたキャシーの心を優しく癒していき…というストーリーで、50年代ではまだ理解の浅かった“同性愛”と白人・黒人双方においてタブー視されていた“異人種恋愛”に揺れる主人公の苦悩と葛藤を、周囲の人々の偏見の眼差しを織り交ぜながらメロドラマ的映像&演出によりドラマティックに描き出しています。ただし本作で描かれる白人女性と黒人男性の恋愛はプラトニックな関係に終始していて、いわゆる肉体関係に陥っていない点に、50年代当時のアメリカ社会が要求する道徳観と自身の本質的な愛情の狭間に置かれた主人公の、悩み抜いた末の苦渋の選択が表れています。異人種恋愛を本当の男女の仲に発展させてしまうことも可能だったでしょうが、ヘインズ監督はあえてそうはせず、50年代というマイノリティーにとって窮屈だった時代に翻弄される主人公個人の苦悩と葛藤に対して丁寧に焦点を当てています。

主演は名優ジュリアン・ムーアで、彼女は本作の演技が高く評価されヴェネチア映画祭女優賞に輝いています。また脇を固める役者陣も充実していて、妻子とキャリア、同性に対する愛情に揺れる夫をデニス・クエイド、主人公と距離を縮めてゆく黒人庭師をデニス・ヘイスバート、一家に仕える黒人家政婦をヴィオラ・デイヴィスが好演しています。

詳細評価

物語
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音楽

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