ビング風味の『アーサー王宮廷のヤンキー』
- rup***** さん
- 2015年11月15日 0時25分
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マーク・トウェイン原作の『アーサー王宮廷のヤンキー』の3度目の映画化作品です。
ビング・クロスビーのスタイルに合わせて唄入り映画に仕立てたもので、ビングが演じる鍛冶屋のハンクがアーサー王が統治している世界にタイムスリップしてもいつもながらのお気楽な雰囲気で演じているので、多くのビング主演作品と同様、のんびりと鑑賞することができます。
監督は海洋劇の名手テイ・ガーネットで、特にインパクトのあるシーンはないものの、時代劇の雰囲気はしっかりと出ていました。
いつも風邪気味の好々爺といった感じのアーサー王をサー・セドリック・ハードウィックが演じて好演。「皇帝円舞曲」でフランツ・ヨーゼフ1世を演じたリチャード・ヘイドンと好一対をなす印象です。
さらに、ちょっととぼけた騎士サグレモア卿をウィリアム・ベンディックスが演じて、愉快なコメディ・リリーフとなっています。ハンクがつくった拳銃を物珍しげにいじくりまわして、台に放り投げた途端に発砲して肝を冷やすシーンは秀逸でした。
また、アーサー王がハンクとサグレモア卿をお供に庶民の姿に身をやつしてお忍びで城外に出かけるくだりは、まるで水戸黄門漫遊記の一場面を観ているような気分になります。3人が陽気に歌うシーンも楽しいです。
ハンクはレンズを使って物を燃やして魔法使いマーリン(マーヴィン・ヴァイ)の魔術に対抗するほかにも、マーリンの企みに引っかかって処刑されそうになったときには偶然起こった皆既日食を利用して難を逃れるといったご都合主義の極みともいえるような場面も用意されていますが、これは原作にも登場するエピソードなので文句を言ってもしょうがないですね。エンターテインメントとして割り切ってしまうと、楽しく観ることができます。
ハンクとロンダ・フレミングが演ずるアリサンデ姫との間にはロマンスが生まれ、ハンクは、宮廷楽士の楽器のアレンジを変えて現代風の曲調でダンスを踊ったり、2人で美しいデュエットを披露したりするのが良い雰囲気です。
アリサンデ姫をめぐって円卓の騎士ランスロット卿(ヘンリー・ウィルコクスン)と対立関係になるものの、馬上槍試合ではヤンキー流の珍妙な戦法でランスロットを翻弄します。正々堂々と戦わないハンクにおかんむりになるアリサンデ姫のツンとした表情がなかなかいいです。
ロンダは演技的には取り立ててどうということもありませんが、こういう時代物では特に美しさが際立ってます。終盤では男装の麗人姿も披露していて、彼女の美を堪能するという点では十分満足することができました。
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