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夢の中の人生

夢の中の人生

FROM THE LIFE OF THE MARIONETTES/AUS DEM LEBEN DER MARIONETTEN

98

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4.0

ネタバレベルイマンの最も鋭く暗い作品

別題「繰り人形の人生から」 ベルイマンが、脱税疑惑で祖国に愛想が尽きてドイツにいる時に撮った作品。(この映画の撮影時には、事件の方はケリがついていたという) 主人公ペーター・エーガマン(ロバート・アルツォルン)は、仕事も順調、結婚生活も円満に見えたが、ある日のぞき部屋の娼婦を衝動的に殺害する。 この事件を、彼にまつわる人々の事情聴取や、妻カテリーナの視点(クリスティーネ・ブッヒェガー)、ペーター本人の独白等を交えて、事件の数週間前から事件後まで時間枠を行ったり来たりしながら多方面から追求している。 “犯罪の真の原因は外部からでは理解できない”というコンセプトで、犯罪者の隠れた心理を描き出そうとするものらしい。 ここでのベルイマンは、仮面を被って社会に順応する現代人の孤独や苦悩を描こうとしている様だ。 ペーターの場合は、本人も気づかぬまま潜在的に“ホモセクシャル”の願望を持っていて、妻との性生活がギクシャクし、孤独になって「出口なし」の心理的ストレスから妻と同じカテリーナという名前の娼婦を殺害したのだという。 自分の本性に気づかぬまま生きてきた男の逃避手段が「殺人」だったというおぞましさ…。これはベルイマンの作品の中で、もっとも暗い心理を描いた作品かもしれない。 スヴェン・ニクヴィストのカメラワークが素晴らしく、まさにアートだ。ポルノまがいのシーンが多々あり刺激的ではあるが、カメラの見事さゆえ猥雑さが微塵もない。 この映画は、パートカラーで、冒頭と最後のみ画面に色が着いていた。

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