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家宝

家宝

O PRINCIPIO DA INCERTEZA/THE UNCERTAINTY PRINCIPLE

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5.0

ジャンヌ・ダルクのように

愛のない結婚と性へのトラウマを耐える、ちょっと前に東海テレビの昼ドラにあったような映画(真珠夫人とか?)。にもかかわらず、なに、この、静謐な美しさ! 愛情ではなく納得で選んだ結婚をつらぬく女性の芯の強さ。しかし、耐える主役の女優さんの神経症的にぴくぴくしているまつげや頬が演技なら、すごい演技力です。その強さの由来がジャンヌ・ダルク。家に伝わる礼拝堂のなかのクモの巣がはった小さい像。その像に彼女は「お言葉を」と祈る。かつて、ジャンヌが神の言葉を直接聞いたように。何を聞いているのかわからない礼拝堂の中の振る舞いこそ、強さの秘密です。 「声」を聞くだけではなく、映画自体が音の魅力にあふれています。パガニーニの「音楽」、床を歩く「靴音」、ドアの「きしむ音」、鳥の「さえずり」、電車や飲み屋の喧噪も。とにかく音がすばらしい。コツコツと響く音だけで引き込まれます。「音」を聞く映画です。 ヨーロッパの建物だから出る音たち。ポルトガルの街や建物の美しさや明確な階級差も相まって、良くも悪くもヨーロッパの映画だなぁとしみじみします。

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