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破獄 (1985)

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4.22 / 評価:27件

【追悼】名優・緒形 拳さん

  • dai******** さん
  • 2008年10月12日 3時08分
  • 役立ち度 7
    • 総合評価
    • ★★★★★

1988年フジテレビが総力を挙げていた(と思われる?)映画「優駿 ORACION」も、
ご子息・直人さんとの共演でとても印象に残っております。祖父といっしょに映画館で観た思い出の作品だからとりわけに。。

でもわたしのなかで一番強烈に印象に残っている作品は、カンヌ映画祭パルムドール受賞作でもなく大河ドラマでもなく、
この1985年のNHKドラマ『破獄』ではないかと思うのです。

激しい吹雪が冬の淡い太陽の光をかき消してしまいそうなほどきびしい極寒の地の刑務所で、
幾度捕まっても脱獄を繰り返す驚異的な囚人・佐久間という男の話。

いったい何がそこまで佐久間という男を“脱獄”に駆り立てるのか?
外に出て“自由”を得るため?
いや、どうもそうではないような気がする。もちろん最初はそれをやろうとしていたのかもしれないが、しかし本当の目的は“獄”を破る、つまり自分(佐久間)を捕えて束縛しているものを破って抜け出すことにあるのではないだろうか?!
囚人にまで落ちてしまった不運な自らの人生、その怒りの矛先が周囲へ向けられ、看守への憎悪むき出しになる。きっと束縛しているものが強ければ強いほど、彼は燃えるんじゃないか。
“獄”を破るという行為は、佐久間の精一杯の抵抗であり、かなりハタ迷惑で変わりすぎてはいるけども、佐久間にとってこれが唯一の自己表現の手段であり、「生きる」ということそのものであったのではないかと推察する。
やがて佐久間は“脱獄”を繰り返すことで、生きる意味を知るような気がした。
そこには何度裏切られても佐久間の中に“善”を見出そうとした、その努力を貫いてくれた大恩人・看守の鈴江の存在、彼の大きなあたたかな慈愛があったからにほかならない。
東京に赴任した鈴江のもとにある日突然ノソッと現れて「おまえに会いたくて~」って言ったときの佐久間の表情がなんともいえない。対する鈴江のほうも「これからどうするんだよ!」って言いながら、ずっと長いあいだ信じていた相手がついに自分を信じて頼って来てくれた“喜び”は至上のものだったと思います。囚われる者と監視する者が“信頼”という堅い絆で結ばれた瞬間だったのではないでしょうか。
人(ひと)はやっぱり“愛”で救われるんだ~!!!

鋼のようなカラダ、類まれな脱獄技術(なぜ?いとも簡単に手錠足枷を外すことができちゃう!etc…)、驚異的な身体能力(スパイダーマンみたい!)、それから常識では考えられないほど強く堅い“脱獄”への執念!!
当時、おん歳40代後半の緒形拳さん。佐久間という人物を演じるために必要なものすべてを兼ね具えられて画面にあらわれていたようにお見受けいたします。貫禄、凄み、頑強さ、そして“脱獄”への執念を際立たせる鬼気迫る形相、とくに眼の勢いがものすごく印象に残ります。一度観ただけでしっかりと脳裏に焼きついてしまうほどに。

『破獄』は囚人・佐久間と看守・鈴江の、囚われた者と監視する者の人間関係を軸にしたヒューマン・ドラマでもあります。
看守・鈴江を演じた津川雅彦さんは緒形拳さんの公私にわたる友人であったといいます。
氏は、(家族以外では)故人の最期を見届けた唯一の親友だと聞きました。
そういう現実のエピソードもまじえて観てみても、やっぱりあらためてこの作品は“特別だな”と思いました。

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