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灰の記憶

灰の記憶

THE GREY ZONE

109

烏有斎

4.0

ネタバレ最後のシーンでは呻いてしまう

ユダヤ人虐殺を主題にした映画の中ではマイナーな方だと思う。 ゾンダーコマンドと呼ばれる絶滅収容所で4カ月の延命と引き換えに同胞の虐殺の手伝いをさせられたユダヤ人たちの存在と、彼らの葛藤と、彼らが蜂起して一収容所施設を破壊し、そして皆殺しにあった記録である。 アイヒマンの尋問調書を読んで、ナチが具体的にどのようにしてユダヤ人絶滅計画を立案したかというのは大凡知識としてありはしたのだが、それが言わば大綱的なものであるとすれば、こちらはその施行細則とでもいうべきもので、大量の人間を一所に集めて皆殺しにしていくにはどのようにすれば能率的に遂行してくことができるかとうことを極めて具体的に観るものに教えてくれる映画と言えるだろう。 ユダヤ人虐殺自体のおぞましさは論を待たないのだが、それ以上に一部ユダヤ人同胞を利用して虐殺という業務を遂行していくナチの狂気は心底恐ろしい。 兎に角人があまりにも簡単に殺されていく。殺す方も嫌だったと信じたい。 ガス室で一命を取り留めた少女を救おうと、人格の崩壊していたゾンダーコマンドたちの中に良心が戻る。これは実話かどうか分からない。 いずれにしても、少女も含めて皆殺しに合う。慣れるということは人間の偉大な能力だと思うけど、同時に恐ろしいことでもあると思う。

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