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デブラ・ウィンガーを探して (2002)

SEARCHING FOR DEBRA WINGER

監督
ロザンナ・アークエット
  • みたいムービー 88
  • みたログ 721

3.25 / 評価:110件

生活と自己表現は両立できるか

  • yab***** さん
  • 2018年10月2日 21時21分
  • 閲覧数 849
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

言い方は悪いが、これだけハリウッドの有名な女優とインタヴューができたのも、ロザンナ・アークエットがけっして一流の女優とはいえないからであろう。言いかえればプライドの高い女優陣に優越感を感じさせる才能の持ち主ともいえる。
 よく言えば「私が一番美しい」と思っているハリウッド女優陣のなかにあって、結構バランス感覚があって、人の傷みがわかって、頼りがいのあるいいおばさんなのだろう。だから彼女が40歳になって、”生活と自己表現は両立できるか”という大命題?のもとインタビューを敢行しても、気さくなおばさんが、「あなたもそうなんだ。わたしにもあるある、そういうことって」と相槌をうちながら、井戸端会議に花を咲かせているようにしか見えないのだ。
 その状況においては、「ロザンナだから言うんだけど」という感じで、みんな本音を吐いてしまう。「だってロザンナは私のライバルじゃないもの。ストレスのはけ口にはちょうどいいわ」という言い訳を用意しながら。

 シャローン・ストーンはまさにそんな感じだ。ケイト・ブランシェットの素晴らしさに対する妬みをロザンナに結局ぶつけている。
 「私は私よ。彼女は彼女でステキでいい。一方では落ち込みながらそれを受け入れて自分のものにしてしまい自分を押し上げるの」。明らかに予想はつくのだが、シャローン・ストーンの本性をここまで引き出したロザンナの功績は大きい。

 ホリー・ハンターが、自分の「ピアノ・レッスン」の演技に絶賛の手紙をくれたのはロザンナだけだったとか、メグ・ライアンが最新作のセックスシーンに相当ショックを受けているだとか、デブラ・ウィンガーが、「愛と青春の旅立ち」の撮影二日前に、顔がむくんでいるという理由でスタッフから利尿剤をもらったことがとても屈辱だったとか、”生活と自己表現は両立できるか”というテーマからそれた話の方が断然印象に残るから不思議だ。

 インタヴューの最終目標はテーマの掘り下げではない。テーマをつきつけられて揺れ動く女心を表現するものだ。ひいてはその人の人となりに肉薄する伝達手段だ。そんな気がする。
 テーマは重い。だから女優は若干自分をはぐらかそうとする。だが、そのはぐらかしの行為でかえって本性を出してしまう瞬間がある。無意識の罠である。その罠をロザンナも女優たちも気がついていない。
 無意識のうちに作品が一人歩きする瞬間である。誰も波及効果を予想だにしない。それが実はロザンナの立派な演出であり、隠れたプライドのように思えた。

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