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10話

10話

TEN

94

bakeneko

5.0

ネタバレコストパフォーマンスNo.1!

面白い映画に必要なのは、お金ではないということを痛感する作品です! えー、ここ数年、日本のアニメーションの世界ではフラッシュアニメによる改革が起きています。 それまで大人数による膨大な作業によってのみ作成されていた商業アニメーションを、才能のある人達が少人数で作成してネット配信、発表しているのです。 そして、鋭い感性と製作力を持ったクリエイターがスポンサーに迎合すること無しに創ったアニメーションが、凡百の“老舗プロ”の作品を“人気と品質”において遥かに凌駕してしまっているのです(既存のノウハウに乗っかって、ベルトコンベアー的に生産される量産品は、(使用予算が1/1000以下の)“本物の創意”には勝てないのですね)。 実写映画においては、一般的に必要とされる製作費と労働力はアニメーションよりも更に莫大であります。 そして、近年の“ヒット作品の方程式”には、CG、爆発、アクション、濡れ場、効果音等、数億-数十億掛るのが当たり前でありますが、観客の満足度が使用製作費に比例するとは限りません。 本作品は、運転席の女性と、助手席に乗り込む人々の会話のみで構成された10の物語であります。アッバス・キアロスタミは脚本も自分で書き、撮影も車内に固定された2台のデジタルビデオカメラのみで自分で撮っています。出演者も特に有名な俳優でありませんし、撮影も期間を掛けたものではありません(つまり、どう考えてもあまりお金が掛っていないのですね)。しかしながら、会話から描きだされる数々の事が、興味深く、身につまされ、スリリングで…と、とても面白いのです(会話内に特に劇的な事象も無く、感情のぶつけ合いすらもないにも関わらず)。 結局、惹きつけられている原因は“人間への関心”であり、“物事を理解する快感”であるのですが、映画によってそれらを得ることがとても楽しいことを、まざまざと見せてくれる作品です。一人の才能のある真剣な作家には巨大資本もかなわないことを知ると(貧乏人として)何だか嬉しくなります。 楽しく笑いながら、イランの事に色々詳しくなれますよ(彼らはとっても私たちに似ています!)。

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