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アンディ・ラウの 麻雀大将

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3.0

雀卓囲んで新年を迎えましょう

本作は02年の「賀歳片」です。 「賀歳片」と言うのは、中華圏で言う「正月映画」のこと。基本、春節(旧正月)の時期に公開される目玉映画のことで、家族皆でワイワイ楽しく観ることの出来る映画を指します。この言葉は最近生まれた造語で、97年に中国の馮小剛(フォン・シャオガン)が撮った『甲方乙方』がその始まり。以降、大陸や香港では、春節に合わせて公開される映画をこう呼ぶようになりました。 この映画は香港映画ですが、香港の「賀歳片」の特徴は、新年の祝賀ムードを盛り上げるべく、大勢のスターが大挙出演すること。例えば今年(11年)の場合だと、『最強囍事』と言う映画でドニー・イェン、ルイス・クー、セシリア・チャン、カリーナ・ラウたちが勢揃いしたコメディ映画が公開されています(ドニー兄貴がアクション封印し、カリスマ・メイクアップ・アーティストと言う腰を抜かす役に挑戦してます)。 本作に登場するのは、アンディ・ラウ、ラウ・チンワン、ルイス・クー、ジジ・リョン、チェリー・インの五人。その題材は、邦題『アンディ・ラウの麻雀大将』から想像出来る通り、「麻雀」。そして本作の監督は、ジョニー・トー&ワイ・カーファイのミルキーウェイ・コンビ(ミルキーウェイってのはふたりの映画製作会社のこと)。いつもの癖のある映像を封印し、愉快で楽しい娯楽映画に仕上げてくれました。 この映画、先のレビュアーさんたちがおっしゃる通り、とにかく愉しめます。 香港流のコメディなんで、多少「灰汁」が強いのは確かで、それを笑える人と笑えない人にわかれる可能性は否定しませんが、少なくとも、観て不愉快になる映画じゃない。 小難しいことはゼロ。 頭を捻る必要もなし。 アンディ・ラウ以下、主要キャストが巻き起こす笑いを愉しめばいいだけ。 その意味では、普段はジョニー・トー映画を敬遠してる人でも、この映画は愉しめるのではないかと。勿論、普段からジョニー・トー映画が好きな人でも問題なし。ラウ・チンワンの爆笑演技、そして脇役のウォン・ティンラム(ジョニー・トー映画お馴染みのふとっちょ爺さん)の恰好だけで爆笑しっぱなしの、私みたいな人も出てくるのではないでしょうか。 ストーリーは説明する必要もないんですが、一応さわりだけ。 ウソみたいに麻雀が強い“麻雀大将”が、アンディ・ラウ。その弟がルイス・クー。ふたりには痴呆症の母親がいて、真面目なルイス・クーは、そんな母親をほったらかしにする放蕩兄貴のアンディと対立気味。アンディにぞっこんの彼女がジジ・リョンで、彼女は性格に問題あり。ある日、真面目なルイス・クーはチェリー・インにはめられて、ラウ・チンワンやウォン・ティンラムが演じるイカサマ雀士集団にカモられる。 ってとこまで説明すれば、あとの展開は想像出来ますよね。 但し、ここで繰り返しておきますが、本作は「賀歳片」です。 なので、基本的に悪人は登場しません。 この映画に登場するのは、(それが香港映画の証でもあるんですが)とってもエキセントリックなキャラクターばかり。まともなのは、ルイス・クーとチェリー・インのみ。あとのキャラ(特にジジ・リョン&ラウ・チンワン)は、完全に笑いを取るために生み出されてます。個人的にはラウ・チンワン&ウォン・ティンラムのふたりに笑っちゃうので(ほかの映画では観られない恰好なんで)、ジジ・リョンは要らないけどね。 先にも書いた通り、ジョニー・トー&ワイ・カーファイは、いつものブラックな、そしてどこか醒めた目線を封印。今回は徹頭徹尾、娯楽映画に徹しています。それは間違いなく正解で(私にはね)、正直、こんな肩の力を抜いた映画をもっと撮って欲しいと思ったくらい。 難点としては、麻雀を知らない人には笑える要素が目減りするってことでしょうか。アンディ・ラウのありえない鬼ツモ、役満連発の上がりなど、それだけで突っ込んでいられるんですが、それがわからない人にはツライかも。但し、それを知らなくても愉しめるからこその「賀歳片」なんで、あまり警戒することもないのですが。 ふたりの悪ふざけが頂点に達するのは、海辺で雀卓を囲むラストシーン。 突如流れる「将軍令」(香港映画ファンなら聞けばすぐにわかります。わからない方は、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズをご覧ください)の替歌には、最後の最後まで笑わせてもらいました。 皆さんご承知の通り、古今東西映画にも色々あるんですが、個人的には、こんな映画も必要だと思います。 まあ、笑いのツボは人それぞれなんで、おススメはしません。 言えることは、私は、この映画が好きってことです。

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