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ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還
2月14日公開

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

THE LORD OF THE RINGS: THE RETURN OF THE KING

2032月14日公開

tfj********

5.0

ネタバレ大団円!大作を見たあとの余韻に浸ろう

「指輪物語」三部作完結編。フロドとサムの旅と並行し、アラゴルン、レゴラスとギムリを中心とした人物群が闇の軍勢に立ち向かう戦いがクライマックスを迎える。 ローハンの民は、アラゴルン、レゴラス、ギムリとともに、ヘルム峡谷の砦を襲ったオークの大部隊を打ち破った。一同は悪鬼ウルク・ハイを生み出していた悪の魔法使いサルマンの拠点を調査中、魔法の水晶玉を発見する。いっぽう木の巨人たちとともにいて無事だったメリーとピピンも合流するが、ピピンは好奇心から水晶玉を覗き込んでしまい、魔王サウロンに存在を察知されてしまう。だが、魔王との交信中に偶然ながらも燃え上がる白い大木の幻を見たとピピンから告げられたガンダルフは、魔王の次なる標的はゴンドールの首都ミナス・ティリスだと察知し、ピピンを連れて都に向かった。 他方、指輪を運ぶフロドとサムは、ゴンドールの執政官の次男でボロミアの弟、ファラミアに一度は捕えられるも解放され、ゴラムの案内によりいよいよモルドールの奥地に分け入っていく。だがゴラムの偽装工作でサムを誤解したフロドは、親友を追い出してしまい、しかけられた罠に次第に陥ってゆくのだった。 そのころミナス・ティリスの執政官デネソールは、迫りくる闇の軍勢の知らせには全く無関心で美食にうつつを抜かしていた。デネソールの長男ボロミアが自分を庇って戦死したことに負い目を感じたピピンは、自ら衛兵として奉公することを執政官に申し出る。いっぽう、ガンダルフは、デネソールが助言を聞き入れないどころか、権力を奪ってアラゴルンとローハンに渡そうとしていると決めつけられて業を煮やし、秘密裡にピピンを狼煙台に潜入させ、ローハンに援軍を求める信号を発信させる。 信号を受け取ったローハンのセオデン王は、以前ゴンドールが危機の際助けに来なかったという恨みを捨て、援軍を送るべく国中の兵力を招集し、アラゴルンたちもまたローハンに同行する。だがゴンドールへの出立を翌日に控えた夜、彼を一人の人物が訪れる。 それはエルフの代表者エルロンド卿だった。卿はアラゴルンに、娘でありアラゴルンの婚約者であるアルウェンの余命はもういくばくもないと告げる。闇の力の増大により生命力が奪われていくにもかかわらず、アラゴルンへの愛を貫くため、中つ国を捨て別の世界に船で旅立つという選択肢を彼女は拒否したのだ。また卿は、サウロン側の兵力はオークだけではなく東の国の民たちの大軍勢も含まれており現状では到底勝ち目はないと指摘する。かつての王たちが使い、一度は折れたものの鍛え直された剣「ナルシル」をアラゴルンに手渡したエルロンドは、乾坤一擲の秘策を取るよう彼に促す。 前作をはるかにしのぐ大軍勢がミナス・ティリスに押し迫るとともに、馳せ参じたローハンの騎兵隊が、戦象を連れた東の民の軍勢とぺリノールの平原で激突する。果たして勝敗の行方は?密かにローハンの戦列を離れたアラゴルンは戻ってくるのか?そしてフロドたちの運命やいかに? もはやこれ以上の説明は不要だろう。三部作が堂々と完結し、何も思い残すところのない終わり方はあっぱれとしか言いようがない。 また、調子ばかりよくて何をやらせてもダメだったメリーとピピンが、どんどん成長して最後には立派で勇敢な姿を見せてくれるのが泣かせるとともに、ローハンの姫エオウィンが女性騎士となって大活躍するのも今作の見どころ。 そしてどんなに相手に誤解されても、ボロボロになっても決してフロドを見捨てないサムの忠実さ。実は、今作の本当のヒーローは、アラゴルンでもフロドでもなく、サムだったのかも。 低評価のレビューには、「長い」「間延びする」といった言葉も見られるが、個人的にはこの作品は複雑な筋をギュっと凝縮して短時間で見せる方法をとらなかったことがむしろよかったと思っている。バタバタした駆け足の展開ではなく、瞬間瞬間に、音楽と登場人物のちょっとした表情の変化とか風景とかが、間を開けるように配置されていることが、むしろ見る側に心の余裕を与えてくれているように思うがどうだろう? ストーリーに追いまくられるのではなく、あくまで映画をたっぷり楽しむ時間を過ごしたい。そういう人には、きっと初見でも十分楽しめるだろう。 構成やカット割りだけではない。たとえばミナス・ティリスの都の白い石づくりの広場に集結する、銀色の甲冑を纏った騎兵たち。その構図と色のコントラストだけでも、まるで昔の前ラファエロ派の美しい絵画を見ているかのような気分になれるよう計算されており、映画という「絵」を楽しめるようにもなっている。 年に一度は、例えば年末にでも「ロード・オブ・ザ・リング・マラソン」をやって全三作を一気に観たいものだ。観たあとしばらくはカタルシスと余韻に浸れる、名作中の名作だ。

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