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はじめの一歩 間柴vs木村 死刑執行 (2003)

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4.17 / 評価:12件

最凶王者に挑む、最高の凡人の生き様

  • Fishrimp さん
  • 2007年12月16日 22時56分
  • 閲覧数 992
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

「・・・全ては、この一撃のために!!」

1989年から週刊少年マガジンで連載中の森川ジョージ原作「はじめの一歩」のOVA作品です。
マガジン誌上で定期集計されるシリーズベストバウトの中でも常に上位5位前後に必ず食らい付くベストエピソードの一つ、(※原作コミックス31~33巻収録) 『日本J・ライト級タイトルマッチ 王者・間柴了vs同級3位・木村達也』のをアニメ化したのが本作。

尺の都合が大きな要因だろうが、思い切りが良過ぎるほどに漫画原作のエピソードが端折られて進行する。前作「チャンピオン・ロード」のように、不必要なエピソードを延々と見せられるよりは、この方が好感が持てる。
漫画をアニメにするという事は、得るものと失うものの均衡であり、せめぎあいである。結果として得るものが多いと、アニメとして名作に昇華する可能性が発生する訳で、漫画原作を忠実になぞる事が良いアニメになるための必要条件ではない。
アニメ作品としての「はじめの一歩」は、若干の中だるみは発生したものの、ボクサーの身体の如く余分な脂肪を削ぎ落とす事で成功したアニメだと思っているので、好意的に捉えれば、前作の失敗を踏まえ、本作で原点回帰を目指したのではないだろうか、とも考えられる。

本作にのめり込めるかどうかは、主役に抜擢された木村達也というキャラクターに感情移入出来るかどうかにかかっている。
5年間ボクサーを続けるものの、成績はそれなり、悪くも良くもないボクサーに過ぎなかった主人公の幕之内一歩の先輩の木村が、最後の最期の勝機に全てを掛けてタイトルマッチに挑みます。 負ければ引退・・・勝てばチャンピオン・・・
悔しくて眠れなかった敗北の夜、勝利の拍手喝采に勇気付けられた瞬間、5年間積み上げてきた日々…『その証が欲しい』そのためだけに彼はリングへ上がります。

「3分間よく粘ったじゃねぇか」
「3分だと…たったの3分屁でもねぇよ。こちとら5年も粘ってきたんだ!」

殺戮的イメージで連戦連勝のチャンピオン・間柴に対し、単なる街の喧嘩屋だった木村。圧倒的な間柴の力量に怯えながら、しかし、努力の積み重ねを唯一の拠り所として、敢然と立ち向かってゆく様に、凡人たる自分達の姿を重ねて見てしまうからこそ、このエピソードは人気が高いのだろう。

単なる凡人では終わらない、いや終わらせない彼の意地の姿はボクサーの生き様そのもの。
目の前に見えたチャンピオンベルト。
それを掴もうと叫ぶ2人の最後の一撃が放たれ、彼のドラマは終幕を迎えます。

原作共に涙無しでは見てられない男の物語。

ただ、努力の末に木村が手に入れた必殺技「ドラゴンフィッシュ・ブロー」についての解説が不充分だったのは、正直いただけない。木村が必殺技を編み出すまでに苦心惨憺する描写はキッチリと描けていたのだから、何故にドラゴンフィッシュ・ブローが必殺技たりえるのか、技術解説を挿入する事(例えば、スパーリング・パートナーであった宮田に、台詞で説明させる程度で十分)は、不可能ではなかったハズだ。
それがなかったがために、最大の山場になるドラゴンフィッシュ・ブロー炸裂の場面に説得力がない。偶然の所産、ラッキーパンチのようにも見えてしまうのが残念だ。

同様の理由で、試合の決着に至るカウンターの打ち合いについての結末も、心底納得できるものにならなかった。(一応、鷹村の解説はあるが‥‥‥)
この辺に説得力があると、木村の「たった3cm」という述懐が、物凄く胸に響くものになっていたと思うのだが。(と言いつつも何だかんだで感動してしまうが…w)
やはり惜しむべきは収録時間の少なさ。
最高の出来を知っているだけに、ある程度の予備知識を見越しての作品になってしまったのがくやまれるが、60分という短い時間ながらきっちり纏め上げたスタッフの手腕には惜しみない拍手を送りたいですね。お見事です。

★★★★★(90/100点)
【5年間を60分に紡いだ傑作】

詳細評価

物語
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