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欲望の翼

欲望の翼

阿飛正傅/DAYS OF BEING WILD

97

bakeneko

5.0

ネタバレ創られなかった後編に想いを馳せて…

“永遠に映画の中をさまよう鮮烈な青春像”を刻み続ける、ウォン・カーウァイ監督の第2作にして、彼の映画で描かれる彷徨キャラ達の旅の出発点となった大傑作で、本作から撮影を担当する名手クリストファー・ドイルの映像とラテン音楽などの既成曲とのシンクロナイゼーションが映画的な躍動感を生み出してゆきます。 1960年の香港を舞台にした“恋愛+人間ドラマ”で、裕福な養母:レベッカ・パンの援助で惰情な時を過ごしている青年:レスリー・チャンを中心にして、内気なサッカー競技場の売店の売り子:マギー・チャン、クラブのダンサー:カリーナ・ラウ、幼馴染の友人:ジャッキー・チュン、元警官の船乗り:アンディ・ラウ、(そしてワンシーンだけトニー・レオン) らが、刹那的に巡り逢い運命を共にして別れてゆく瞬間を、香港の湿気と熱気の中に映し撮って“過ぎ去った永遠の時刻”を見せてゆきます。 青春の熱気と焦燥、感情の起伏、熱烈な恋情、生命力と疾走感…を映画の中に収めこんで、トリュフォーの「突然炎のごとく」を連想させる傑作で、“恋の熱情を内に燃やす”-マギー・チャン&アンディ・ラウのアジア人の奥手な愛の形は日本人としても共感度大であります。 本作以後、長いコンビを組むことになるクリストファー・ドイルの映像と、こちらもトレードマークとなるラテン音楽のシンクロナイゼーションは絶妙で、 冒頭から繰り返される“フィリピンのジャングル映像”に重なる、“オールウェイズ・イン・マイ・ハート”♪(ロス・インディオス・タバハラス楽団) ダンスホールでレスリーとカリーナが会話する場面の“El Cumbanchero”♪(ザビア・クガー楽団) カリーナを帰した後でレスリーがレコードに合わせて踊る際の“Maria Elena”♪(ザビア・クガー楽団) レスリーの部屋をマギーが訪ねてくるシーンの“My Shawl”♪(ザビア・クガー楽団) 列車内でレスリー・チャンとアンディ・ラウが話すシーン&ラストのトニー・レオンの登場場面での、 “ジャングル・ドラム”♪(ザビア・クガー楽団) フィリピンでのアンディとレスリーの出会いの場面での、“シボネー”♪(ザビア・クガー楽団) アンディとマギーが公衆電話の前で別れる場面&レスリー・チャンを追うカリーナ・ラウがフィリピンに降り立ったときの、 “パーフィディア”♪(ザビア・クガー楽団) 等は映画ならではの快感を生み出しています(後作からは、トリュフォーの映画音楽が加わってきます♡)。 元来は2倍の長さを計画していた本作の後半部は、資金不足やスターの日程調整が上手く行かなくて流れてしまいましたが、その方が“永遠に未完に終わった青春”を描いた本作らしい余韻を残していますし、どうしても続きが気になる方は、「花様年華」やその続編である「2046」で、本作のラストに出てきたトニー・レオン(続編ではギャンブラーじゃなくてジャーナリスト兼小説家になっていますが)とマギー・チャン(本作と同じ名前です)のエピソードを観ることができますよ! ねたばれ? 1、レスリー・チャンの台詞-「脚のない鳥がいる。一生飛び続け、疲れたら風の中で眠り、生涯で1度だけ死ぬときに地上に降りる」は、テネシー・ウィリアムズの戯曲“地獄のオルフェ”の一節です(戯曲の発表が1957年ですから、本映画の時点(1960年)では新作の戯曲の台詞を引用していたのですね-このことから若者がただの遊び人ではなくてインテリであることも判ります)。 2、義母を演じたレベッカ・パン(潘迪華)は、上海から香港に亡命した歌手で本作の続編の「花様年華」にも顔をみせています(でも本作のキャラと同一人物ではありません)。 3、(ミミは)最初はルルって名前だったのに!(何の説明もなく次の場面では名前を変えるなんて…ミスかな?)

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