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4.0点
全編を流れる湿気が息苦しくさせる。誰一人として、恋するしあわせに酔えず、それどころか愛することに苦しみを深くする。愛されたいばかりに、誰の声もきかず、やがて悲しい結末へと向かう男。みんなあなたを愛しているのに。そして視線は微妙にズレ、誰もがすり抜けていく。鳴り響く電話のベルが、悲しくも希望を持たせる。ジャングルの映像と、ゆったりとしたラテン音楽。若さを言い訳にできる時が終わる。タイトルは『欲望の翼』だけど、どちらかというと『渇望』だと思う。ただひたすら湿気は体にまとわりつくのに、一滴も喉を潤す愛はない。本編とは全く絡まず、突如現れるトニー・レオンは謎を呼びますが、実はこの場面がなんともセクシーでなかなかいい。全く、絡みませんけどね。
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