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四つの願い

四つの願い

DARBY O'GILL AND THE LITTLE PEOPLE

91

rup********

4.0

アイルランドの妖精レプラコーン

南アイルランドの小さな村で娘と暮らすダービー・オギール(アルバート・シャープ)は、酒場で人々に"レプラコーン"の話をして聞かせるのが大好きな老人。 領主からお屋敷の管理を任されていますが、ダービーが歳を取ったため、領主はマイケルという若者に管理人の仕事を引き継がせようとしてダービーのもとへ派遣します。 ダービーの娘で父親思いのケイティは、マイケルが父親の仕事を奪う立場にあることを知らされずに彼と次第に親しくなっていくのですが、やがて、その事実を知ることとなり・・・。 マイケルを演じているのが007シリーズ出演前のショーン・コネリーで、コネリーが洗練されていない田舎の好青年といった風貌なのが面白いです。 そして、ダービーの娘ケイティを演じているのは、本作と同じディズニーの「南海漂流/スイスファミリーロビンソン」でのボーイッシュな姿が印象に残っているジャネット・マンローで、本作でも飾らない爽やかな魅力とともに、アイルランド気質の頑固な一面も見せてくれています。 管理人の後釜を狙って、魔法使いの老婆のような容貌のエステル・ウィンウッドとその息子(キーロン・ムーア)がちょっかいを出してきたりするものの、当時のディズニー作品らしく適度に抑えられていて、作品の雰囲気を壊していないのが良いですね。 本作に登場するレプラコーンは、「幸福の森」や「フィニアンの虹」にも出てくるアイルランドに暮らす緑の服を着た妖精で、本作では、レプラコーンの王様ブライアン(ジミー・オディア)が3つの願いを叶えてくれることになっています。 欲張って4つ目の願いを言うとそれまでの3つの願いで叶ったことがすべて消えてしまうという設定が伏線になっていて、ラストにかけてこの設定が活きてきます。 古井戸の底にあるレプラコーンの住みかでダービーがバイオリンを弾いてレプラコーンたちがそれに合わせて踊ったり、4つ目の願いを言うよう誘導されて3つの願い事を帳消しにされてしまった仕返しにと、ダービーがブライアン王を誘って酒を飲ませ、妖精の力が発揮できなくなる朝まで引き止めたりする場面など、当時の特撮技術を駆使して小さな妖精と通常の人間を合成で見せることも狙っているせいか、若干冗長な描写もあるものの、合成シーンは今観ても違和感を感じさせない仕上がりとなっていました。 夜中にケイティが逃げた馬を山へ追いかけて行って重傷を負い、冥界から死の馬車が迎えに来るところの特撮も荘厳な雰囲気があって良かったです。 また、本作で描かれているファンタジー要素は、ダービーの視点で捉えられているのが興味深いところです。 ダービーが捕まえたブライアン王を袋に入れて酒場に持ちこんでも、他の人々はブライアン王の姿を直接見ることがなかったり、マイケルが覗き込んでも野ウサギにしか見えなかったりと、レプラコーンの存在自体がすべてダービーの空想の産物か他の人間が夢に見たものにすぎないと解釈することもできるように計算されて作られているのも面白く感じられる点でした。 50年代の後半にディズニーと契約したロバート・スティーヴンソン監督は、本作の頃はまだ現実寄りの作風で、「うっかり博士の大発明/フラバァ」あたりから本格的にファンタジー色を強めていったようですね。

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