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四人の息子
上映中

四人の息子

FOUR SONS

100

bakeneko

5.0

ネタバレ覚えていた英語の文章は…

I. A. R.ワイリーの"Grandmother Bernle Learns Her Letters" (1926)のジョン・フォードによる映像化作品で、ドイツの山村で若い4人の息子と暮らしていた老婦人の激動の第一次大戦前後をドラマチック&叙情的に描いた“ヒューマニズム+社会ドラマ”の佳作であります。 ドイツのババリア地方の山村で、軍人、農夫、鍛冶屋、放牧業に勤しむ四人の若者の母親として幸福に暮らしてきた夫人をヒロインとした波乱万丈劇で、第一次大戦の勃発で軍事統制化していく村の様子や、徴兵されて行く息子達の生死が戦争の暴力性を見せていきます。 アメリカ映画なのに、第一次大戦中のドイツ人を(一部の傲慢な軍人以外は)基本的には善良な人々として描いている点が出色で、西部劇を撮りながらインディアンの立場も公平に思い遣り、戦意高揚ドキュメンタリーを要請された作品に“戦争に参加すべきでない=孤立主義”を主張に採り込んで軍部を激怒させたフォードの“人間性への信頼と戦争忌避思想”が表れています。 次々と息子達が戦争に獲られていく様子は「プライベート・ライアン」、 横暴&傲慢な軍司令官は「グリード」などのエリッヒ・フォン・シュトロハイムのキャラクターイメージ、 国の上層部が勝手に始めた戦争や軍部の専横に翻弄される農民達の受難としては「笛吹川」や「1900年」、 そして終盤の英語を話す試練は「マダム・イン・ニューヨーク」も連想させる作品で、ドイツ語が効果的に使われているサイレント映画ならではの字幕テクニックも見事であります。 もちろん、村の善男善女や子供たちの愛おしさには、ジョン・フォードならではの人間への暖かい眼差しが溢れている作品ですので、過度にドラマチックな“戦場エピソードのあざとさ”や、持ち上げすぎている“自由の国アメリカ礼賛”描写は大目に見てあげましょう。 後年のフォード自身による本作の発展形:「戦争と母性」や、ブレヒトの傑作戯曲「肝っ玉おっ母とその子どもたち」(1939年)にも影響を与えた“最も早い厭戦映画”の一つでもある作品で、ヒロインと息子達が翻弄される戦争の惨禍をドラマチックに展開しながら人間を見つめる暖かい視線とユーモアも忘れていない良作であります。 ねたばれ? 1、本作は前年(1927年)にFoxで創られ大評判となった傑作「サンライズ」と所縁が強い作品であります。 つまり、「サンライズ」の監督:F・W・ムルナウはドイツから招聘されていますので、ドイツを舞台にした物語を作ることにも抵抗が少なかったといえます。 更に、巨額の制作費で創られた「サンライズ」のセットが本作の撮影に使われています(ババリアの山村は田舎の情景セット、ニューヨークの都会は街のセットを使用しています)―ムルナウ監督自身も撮影を観に来たそうです(興味のある方は「サンライズ」と見比べてみましょう!)。 2、映画中のドイツとアメリカ軍が激戦を繰り広げた西部戦線の戦いはサン・ミッシェルの戦い(1918年9月)と推測されます(同じく本戦を描いた映画にはクララ・ボウがヒロインを演じた「つばさ」があります―戦闘の全貌を知りたい方はご覧ください) 3、第一次世界大戦へのアメリカの参戦は1917年4月6日。終戦が1918年11月11日ですから、次男が直ぐに徴兵されたとしても、1年ちょっとしか戦争に参加していません。→息子が成長しすぎ! 4、で、軍士官のエキストラに若き日のジョン・ウエインが出ているそうですが…見つからないよ~涙。

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