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ラスト・シューティスト (1976)

THE SHOOTIST

監督
ドン・シーゲル
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4.08 / 評価:49件

ジョン・ウェインは何故死んだのか

  • すかあふえいす さん
  • 2014年5月2日 19時52分
  • 閲覧数 1106
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

ガンに侵されながらも最期まで己と戦い続けたジョン・ウェインの遺作。

ウェインと共に西部劇を支え「リバティ・バランスを射った男」でも共演したジェームズ・ステュアート、
「駅馬車」で共演したジョン・キャラダイン、
名女優ローレン・バコール(西部劇では「キー・ラーゴ」に出演)、
ロン・ハワード(「スパイクス・ギャング」出演)、
リチャード・ブーン(「アラモ」、「星のない男」出演)、
ハリー・モーガン(「真昼の決闘」、「怒りの河」出演)などが脇を固める。

ジョン・ウェインほどヒゲが似合わない人間もいないが、歳を取りヒゲを生やすまでになった保安官の晩年像。
ヒゲも無く若さと元気に満ちていた昔と、老骨に鞭打って執念で仕事を続けようとする男の孤独な一面との対比。
「赤い河(ハワード・ホークス監督)」、
「リオ・ブラボー(ハワード・ホークス監督)」、
「ホンドー(ジョン・ファーロウ監督)」、
「エル・ドラド(ハワード・ホークス監督)」のバラバラの一場面を「西部劇」という一つの世界観で統一したドン・シーゲルの粋な演出が特徴的だ。
ウェインのファンにとっては「歴代の“ジョン”なんとかさんはこの人でした!」と改めて自己紹介されるような感じかな。
白黒ウェインのカッコ良さは異常。

ファーストシーン以降しばらくは撃ち合いがほとんど無い。
ジョンが知り合ったロジャース夫人たちとの交流、旧友との別れ、名を挙げようと迫る仇敵たちとの因縁。
死期が迫った中で自分を見つめ直す主人公の内面をじっくり描いていく。
「拳銃王」の真逆って所がミソだね。
「拳銃王」はアウトローの孤独、本作は保安官の孤独を描いている。
自分は何を成し、何のために戦ってきたのか。
様々な思いがジョンを取り巻く。
そして文字通りラスト9分の「最後の銃撃」。

ジョン・ウェインは病ではなく、保安官として死にたかったのかも知れない。
第二世界大戦であえて本土に残り、役者としてアメリカの本土で死のうと映画の中で戦い続けたウェイン。
戦場に行った男たちのために映画界に留まった執念、そんな後ろめたさとの戦い。

無秩序な戦場で誰かを守って死ねるのだろうか?
だったら自分は誰かを守って死にたい。せめてスクリーンの中だけでも・・・そういう思いがウェインにはあったのかも知れない。
皮肉にもウェインは、戦場で使われるはずの核実験の影響を本土で受けガンに侵されてしまった。
一度は克服した病も、いつまた自分を殺しに来るか解らない。
まるで保安官に報復しようとする無法者のように執念深い病に。
このラストシーティストは、ウェインの心境を映像にして我々に問いかけたのかも知れない。
西部劇の終末を描いたこの作品で。

それでもウェインは映画の中で、実生活で病と闘い続けた。
自分を見出してくれたジョン・フォードやラオール・ウォルシュ亡き後も西部劇を支えたウェイン。
映画界全体の衰退で西部劇も滅び去ろうとしていた。
ウェインはアメリカ最後のフロンティアとも呼べる西部劇を誰よりも愛し、誰よりも守ろうと戦った。
その意思をクリント・イーストウッドなどが継いだと言えるのかも知れないが、西部劇の根底に流れるフロンティア精神を最後まで貫こうとしたのはジョン・フォードとジョン・ウェインくらいでは無かろうか。

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