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リトル・マーメイド/人魚姫 (1989)

THE LITTLE MERMAID

監督
ロン・クレメンツ
ジョン・マスカー
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4.33 / 評価:404件

音楽の良さではディズニーでも一番

この前連れ合いとディズニーについて話していたら、連れが『リトル・マーメイド』を観たことがないというのでDVDを借りて久しぶりに観た。僕が本作を観たのは日本語吹替え版のレンタルビデオが最初だが、アリエルの歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」の日本語バージョンはどうしても違和感がぬぐえず、英語版を観たいと思っていた。
90年代に関西に住んでいたとき本作がリバイバル公開され、仕事帰りに大阪・梅田の映画館で英語版を観ておおいに満足したものである。映画館はOLなどでかなり賑わっていて、同じディズニーが手がけた「101」の話題が交わされていたのを覚えている。海中の場面が多いので、お茶の間よりも映画館で観るほうがより雰囲気が味わえると言えるだろう。

今回改めて観て、忘れていた細かいことを幾つか思い出した。たとえばアリエルが魔女アースラから人間の足を与えられ、海岸で生まれたての子鹿のように立ち上がる場面。人魚からいきなり人間になったわけだから、上半身の胸当てはそのままだが下半身には何も身に付けていないのだ。これに気付いたときかなりドキドキしてしまった。
連れ合いの感想は「かなり怖い映画だった」というものだった。アースラの下半身がタコの造形。部下のウツボにアリエルの行動を監視させ、彼女の心の隙間に忍び寄る狡猾さ。海の王トリトンに追放された恨みを、娘を使って晴らそうとする執念深さ。「契約違反」でミミズのような姿に変えられた人魚たち。アリエルの声を奪い、父親の三つ又の鉾を奪って一時的にせよ海の支配者になってしまう行動力。
そして激高のあまりに巨大化し、大海原に巨大な渦を発生させて多くの沈没船が漂うクライマックスは非常に怖い。エリック王子に倒される壮絶な最期といい、ディズニー映画の歴代悪役の中でも際立って存在感のあるキャラといえるだろう。原作はアンデルセンの童話であり、アニメ化にあたって悲劇的な結末からハッピーエンドに改変されたものの、本作の中にはアンデルセン童話の毒とか悪の要素が消えずに残っているのかもしれない。

すっかりアースラの話が長くなってしまったが、東京ディズニーシーの「マーメイドラグーンシアター」を見た思い出も忘れがたい。アニメの世界を舞台で見られたのが嬉しかった。カニのセバスチャンは着ぐるみではなく、黒子の男性が文楽のように操作するタイプ(舞台版「ライオン・キング」に似ていた)。巨大なアースラが壁から現れる場面は迫力があった。歌われる曲は「パート・オブ・ザ・ワールド」「哀れな人々」「アンダー・ザ・シー」の順番だったと記憶している。
今年は実写版の「美女と野獣」が大ヒットしたが『リトル・マーメイド』も実写映画が作られている。予告編を見るとアニメとは全く異なるストーリーのようである。アリエル役の女優は僕の知らない名前だが、相手役として映画「ナルニア国物語」でペベンシー兄弟の長男ピーターを演じた、ウィリアム・モーズリーが出ていたので驚いた。

本作で歌われる印象的なナンバーについても語ろう。名曲が揃っていることにかけては、ディズニー映画の中でも一、二を争うと言ってもいいだろう。まずはアリエルが歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」。コンサートのオープニングでアリエルが美声の持ち主だと紹介され、当の本人が出演をすっぽかして肩透かしを食わせた後で、自分のコレクション部屋の中で魚の友達・フランダーだけを相手に歌う。名曲だが、日本語の詞に乗せるのは難しい歌でもある。初めて英語版を映画館で聴いたときは感動した。人間の世界への憧れを「あなたの世界に加わりたい」と歌う箇所は、魅力的な場所に旅行して「自分もこの風景を構成する一部になりたい」と強く思う気持ちと共通するものがある。

悪役アースラが歌うのは「哀れな人々」。フランスのキャバレーをイメージした曲だという。フランスといえばセバスチャンと追いかけっこを演じる料理人のルイが呟くモーリス・シュバリエという名前は、「昼下がりの情事」などに出演したフランスの名優である。ルイのキャラクターはディズニーの大ヒット作「美女と野獣」のコグスワースを彷彿させる。
セバスチャンが歌うのは2曲ある。陽気なレゲエのナンバーである「アンダー・ザ・シー」は本作の代名詞といえるほど有名で、アカデミー主題歌賞を受賞している。仕事などで忙しいとき、気分が落ち込んだときに口ずさみ、無理矢理にでも気持ちを盛り上げることがある。
もう1曲は「キス・ザ・ガール」で、前曲と対照的にロマンチックなナンバーでありセバスチャンの低音が魅力的だ。日本語版の声を担当する上條恒彦もいいが、英語版の歌声に何ともいえぬ味わいがある。エリック王子とボートでデートするアリエルのコロコロ変わる表情も見逃せない。

詳細評価

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