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美しき諍い女(いさかいめ) (1991)

THE BEAUTIFUL TROUBLEMAKER/LA BELLE NOISEUSE

監督
ジャック・リヴェット
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3.51 / 評価:90件

芸術家の秘匿性と孤独

  • 一人旅 さん
  • 2019年8月10日 20時14分
  • 閲覧数 426
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

第44回カンヌ国際映画祭グランプリ。
ジャック・リヴェット監督作。

裸婦像の制作に取り組む画家とそのモデルとなった女の関係を描いたドラマ。

『セリーヌとジュリーは舟でゆく』(74)、『北の橋』(81)のヌーヴェルヴァーグを代表する映画作家:ジャック・リヴェットがバルザックの短編「知られざる傑作」に着想を得て制作した上映時間4時間の大作ドラマで、未完の絵画を巡る男女の心理葛藤劇をじっくりと見せていきます。

屋敷で不仲な妻と暮らす高名な画家が、自分を敬愛する青年の恋人である若い女性をモデルに指名し、過去に一度制作を断念していた未完の絵画「美しき諍い女(いさかいめ)」を完成させるべく再び筆を手に取る姿を描いたもの。静謐な映像がひたすら続く作品ですが、画家とモデルが織りなす緊迫した心理葛藤劇に4時間という長尺を感じさせない作風となっています。

端的に言えば、画家とモデルの閉塞的な芸術追求の過程を描いたもの。画家と女性が二人きりでアトリエに閉じこもって、画家の要求に応じて様々なポーズを決める女性を画家は延々とキャンバスに描いていきます。画家と女性は、要求する者とされる者ですが、日が経つにつれ両者の主従関係に微妙な変化が訪れていきます。二人の間に流れる、静謐な映像とは対照的な緊迫した心理的せめぎ合いに見入る作品となっています。

目には見えないものを絵画として具現化する画家の苦悩、一日でモデルを辞めるはずが次第にのめり込んでいく女性の心境変化、アトリエに閉じこもりっぱなしの女性に疑惑の目を向ける恋人の青年、自分をモデルにした絵を消されたことに憎悪を抱く画家の妻―と、アトリエで続く画家と女性の共同作業が周囲の人間の心理にも少しずつ影響を与えていく様子が映し出されます。

画家が本当に描きたいものを素直に描くと、周りの人間との関係が破綻しかねない(絵画は人の見たくない、見せたくない部分を容赦なく曝け出す)。他者との関係を平穏に保つためには、時には“偽物の(真に描きたいものではない)絵画”でその場を上手く取り繕う必要すらあります。本作は、他者との関係を無視できないがゆえに秘匿性を堅持しなければならない芸術家の孤独と葛藤に向き合った心理ドラマであります。

主演は名優:ミシェル・ピッコリですが、キャンバスに筆を走らせるシーンは実際の画家が代行しています。そして相手役:エマニュエル・ベアール(撮影時26歳)の覚悟の熱演に拍手喝采で、フルヌード&多彩なポージングを惜しげもなく披露しています。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 知的
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