たった一人の愛、または誰でもよい愛
- 文字読み さん
- 2010年5月15日 0時32分
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1954年。スタンリー・ドーネン監督。街から離れた農場に住む男ばかり7人の兄弟。その長男が街で一目ぼれして結婚した女性を連れてくる。男たちの世界に戸惑う妻だが、むさくるしい弟たちを教育して恋人獲得を手助け。しかしある時、彼らが街から結婚相手となるべき女性6人をさらってきてしまって、、、という話。群舞がとても楽しいミュージカル。青い服を着た長男の嫁が男たちを世話する様子は、宮崎アニメ「ラピュタ」のシータと海賊の男たちと同じ。汚い台所を前にして腕まくりするところまでが。
働き者の妻が必要でとにかく結婚したい夫が、お互いに一目ぼれして結婚するという最初の設定が、6人の男たちの恋とその挙句の誘拐につながっています。たったひとりのこの人への愛と、だれでもいいから愛する人が欲しい環境。人間的な気持ちの問題と、たとえ掠奪でも一緒に暮せば愛は生まれるという構造的な問題。弟たちの掠奪をめぐって夫と妻が自分たちの結婚を振り返るときにも、妻の唱える「人間」的愛と、夫が唱える「構造」的な愛が対立しています。そして、人間と構造という対立は、夫婦に子供が生まれることで解消し、6人の弟たちも全員結婚します。結婚には人間的な愛も構造的な愛も必要だということに気付いていく映画。すばらしい。
音楽やダンスのシーンもまたすばらしい。世界のなかにあるリズムと彼らの気持ちの共振を表した美しいできばえです。おもに踊っている夫を除いた6人の男たちがどのように配置されるのか(だいたい一人から二人、三人へと増えていくが、四人や五人という組み合わせはなく、三人の次は六人全員)に注目。不勉強のため知っている俳優さんや女優さんは出ていませんが、みなさん踊りがすばらしいです。
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