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龍拳

龍拳

龍拳/DRAGON FIST

90

とみいじょん

3.0

今撮り直したらどうなるんだろう?

「もっと良くなるはずだった」「ブルース・リー氏が主演だったら…」と、ジャッキー氏がおっしゃったとどこかで読んだ。  本当にその言葉に尽きる。 物語は悪くない。  二転三転、様々な人の想いが交錯して、その中で、主人公自身の想いも自分自身で持て余して…。って、映画としての深みが増した作品。  今のジャッキー氏なら、もっといろいろな表情等で深みのある演技でみせてくれるのではと期待してしまう。  この頃の若さあふれるジャッキー氏の表情も、若さゆえの甘さ・浅はかさが出ていていいんだけどね。  どちらをとるか。 主人公だけじゃない。全体的に人物の造形が一面的すぎる。  主人公が親のように尽くす奥様も、敵を赦せる大人物なんだけど、私からしたらあまりにも簡単に赦し過ぎる。中国の道(タオ)とか、老子とか、私が理解していない思想に基づくもので中国系の方なら理解できるのだろうけど、そのあたりの流れを丁寧に描いてほしかった。  敵については、それまでの作品と違う設定で面白かったけど、  もう一方の悪役はそれまでの作品と大差ない。 それでもカンフー好きの人にはたまらないのだろう。  ラストのバトルも、やりすぎ!!って言いたくなるけど、それまでの想いが炸裂したと思えば、主人公若いし、ああなるのも仕方ないなあとも思う。  アクロバチックな、それでいて舞のような、それでいて勢いのあるバトル。後年の『プロジェクトA』『サイクロンZ』『ポリスストーリー』のアクションを彷彿とさせる。ジャッキー氏が武術指導したと聞く。さすがだなあ。  怒り爆発場面としてみると、ブルース氏の姿がちらついてしまって、違和感を覚える。  ブルース氏が暴れる場面ってどこか狂気じみた雰囲気が漂う。けれど、ジャッキー氏にはそれはない。  場面設定のせいか?  私が寡聞なのかもしれないけれど、ブルース氏が暴れている場面て、都会の、ゴミゴミした、阿片の煙が漂いそうな、薄暗い室内のイメージ。  でも、この映画の場面は青空の下。 そんなこんなで消化不良。  この作品を最後に、ジャッキー氏は、この監督から巣立ったと聞く。  その後のジャッキー氏の才能炸裂開花をみると、それは正解だったと思うし、同時にこの作品をはじめとするモンキーシリーズがあったから、自分らしさを確かめて育んでいけたんだろうなと思う。  そういう思いで観ると感慨深い作品です。

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