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ルードウィヒ/神々の黄昏 (1972)

LUDWIG

監督
ルキノ・ヴィスコンティ
  • みたいムービー 26
  • みたログ 147

4.00 / 評価:33件

次は、絶対復元版で!

  • gar***** さん
  • 2009年1月24日 22時02分
  • 閲覧数 1019
  • 役立ち度 16
    • 総合評価
    • ★★★★★

19世紀のヨーロッパにおいて、狂王とあだ名されたバイエルン国王ルードウィヒ2世の生涯を描いた作品。
行きつけのビデオ店では、3時間の短縮ヴァージョンが置いてあったのでまずはこちらで鑑賞。
ルートヴィッヒ2世の名前は、彼の「永遠の人」エリザベートの伝記で名前を知りました。若き日の絶世の美男子ぶり、自らをローエングリンと見做すもはや奇行のレベルを超えた振る舞い、ゴージャスな3つの城、そして倒錯と謎の死…知れば知るほど、ルードウィヒが「私は自分自身にも謎でありたい」と語った通りの不可思議な王様だと思いました。そして、この映画。カットは多いですが、間違いなく名画と呼ぶに相応しい作品です。私が好きになる映画の条件は3つあります。
?グレタ・ガルボとマレーネ・ディートリッヒが出ていること
?音楽が最高
?描かれていない所を考えさせる
ヴィスコンティのこの作品は、?と?を満たしています。?で言えば、映画の髄所に奏でられるワーグナー。私は、ワーグナーという作曲家はあまり好きではないのですが(映画に出てきた彼もでも、食えないオヤジだと思った)、この映画での使い方は凄いです。重厚な悲劇を予感させる見事な音の演出です。
?に関しては、当時のヨーロッパの情勢とルードウィヒについてです。ルードウィヒの生きた時代は、ちょうどドイツ統一の時期にあたります。鉄血演説で名高いプロイセン宰相のビスマルクのように、「目的のためには、手段を選ばぬ」型の政治スタイルが露骨になってきた時代です。また、産業革命の進展とブルジョワジーの成長は、国王を中心とする絶対王政を完全に過去のものにしてしまいます。それは、ドイツの諸国家の中において、強固なカトリック国で、工業より農業が主流で、極めて保守的な土地であるルードウィヒの国ヴァイエルン王国にも少しずつながらも影響を及ぼし始めています。しかし、ルードウィヒのスタイルは完全に、過去の君主たちのスタイルです。彼がもし16~18世紀に生まれていれば、国費を使っての3つの城の建設など、問題になるどころかルイ14世のように、神格化された君主として伝説になったことでしょう。しかし、19世紀はそんな「王のワガママ」なぞ許さない時代です。その生まれた時代を間違えたことが、ルードウィヒにとっては、最大の悲劇だったと言えます。
そんなルードウィヒをヘルムート・バーガーが、一世一代の名演で演じきっています。彼の美貌は、若き日の美男ぶりを思い起こさせてくれますし、また虫歯だらけの歯で家臣の美青年たちと目隠し鬼をするシーンでは、美男の面影をまったく感じさせぬグロテスクな演じっぷりで、神がかり的といって良いでしょう。本物のルードウィヒもこんなだったかもと思わせる演技です。
次は、絶対完全復元版で見たい凄い映画です。ご紹介いただいたbakenekoさん、ありがとうございます!
<ちなみに…>
この映画では、ルードウィヒの婚約者でエリザベートの妹ソフィーと戦争によって精神を病む弟オットー王子がいますが、彼らのその後について。
ソフィーは、ルードウィヒとの婚約破棄後、フランスの王族の一人と結婚しました。しかし、その結婚は不幸だったようです。そして、その最後は悲惨としか言いようがありません。彼女は、1897年にパリでチャリティ・バザーに参加している時に、火災に巻き込まれ焼死します。あまりにも酷い最後です。
オットーは、1886年にルードウィヒが廃位された後、ヴァイエルン国王オットー1世として即位します。しかし、兄同様狂気と診断された彼は、飾り物の国王でした。1913年まで在位しますが、その後廷臣たちと親族によって廃位。1916年に68歳でこの世を去ります。彼の狂気については、様々なエピソードが語られています。しかし、そのどれも確たる証拠はなく、兄同様本当に狂気だったか?という疑問は、いまだ解決されていません。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • ゴージャス
  • 不気味
  • 知的
  • 絶望的
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