ここから本文です

冷血 (1967)

IN COLD BLOOD

監督
リチャード・ブルックス
  • みたいムービー 42
  • みたログ 154

3.54 / 評価:41件

神のいない世界

  • 一人旅 さん
  • 2016年1月27日 10時25分
  • 閲覧数 1054
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

TSUTAYA発掘良品よりレンタル。
リチャード・ブルックス監督作。

1959年のアメリカ・カンザス州で実際に発生した一家四人惨殺事件を題材に、二人の若者の凶行から死刑執行までの過程を描いたサスペンス。
リアリズムに徹した描写に胸糞が悪くなる。これから殺されるなんて夢にも思わない一家。クラシック映画のメロドラマに流れるような音楽をバックに、夫婦と息子、娘の穏やかな日常の風景が映し出される。しかし、凶悪な二人の若者が画面の主役になると、それまでの平和な空気は一気に失われる。急にサスペンスフルで怪しい音楽が流れ始め、一家が住む家へ向けて車を走らせる若者たちの不気味な会話劇が始めるのだ。
殺害場面は生々しく残酷で、観る者を圧倒する。ただ普通に生活していただけの幸せな一家が、見ず知らずの二人の若者によって突然命を奪われるという無慈悲と不条理。父親は病気の妻を心配し、妻は娘をレイプしないよう若者に懇願する。手足を縛られ、身動きの取れなくなる四人。そして突如訪れる絶命の瞬間。階段を上がる若者の足音が聞こえ、暗い部屋のベッドに横たわる娘に死の恐怖が襲い掛かる。悲しみはない。あるのは恐怖のみ。人間らしい感情を徹底的に排除した演出が、一家の死という歴然とした事実だけを観る者に突きつける。
警察による捜査の過程は淡々と丁寧に描かれている。捜査員が若者に自供を迫る場面の緊張感は圧巻だ。事件関与を疑われ取り乱す若者と、無表情を貫くもう一人の若者。二人の若者の対照的な態度が印象的だ。
そして、一家を無慈悲に惨殺した若者に罪悪感がまるでない点が事件の虚しさを浮き彫りにする。突然命を絶たれた一家。一家を皆殺しにした罪で処刑される若者。絞首の瞬間が近付くにつれ、若者の心臓の鼓動ははち切れそうなほど速くなる。鼓動とともに、口に含んだガムを噛む回数も異常に多くなる。若者の心は死の恐怖一色。神に対する祈りや被害者に対する罪悪感が脳裏をよぎる隙間すら存在しない。そして、執行人は若者を事務的に絶命させる。結局、人が六人死んだだけで、それ以上の意味はない。法に基づいて若者を死刑に処したところで、誰も救われはしないのだ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ