人生にYESと言いなさい
- kinchan3 さん
- 2013年12月14日 19時35分
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NHKの「ザ・プロファイラー 夢と野望の人生」という番組でレニを取り上げていた。
思い出しながら、この映画のことを書いている。
1995年の8月4日に東中野Bボックスで観ていた。
ヒトラーからニュルンベルグ党大会を撮ってくれといわれたが、軍が出てこないことを恨まれ、まだ掌握しきっていなかったヒトラーに冒頭を党のお偉方を並べることで懐柔してくれと頼まれたのを強い口調で拒否したという。
ヒトラーの言いなりではなかったのだ。
ということよりもびっくりしたのは、僕が職場のPRに使ったビデオの冒頭がその映画『意志の勝利』の冒頭と同じだったことだ。
しっかりと刷り込まれている。
実際、刷り込まれた人々というのは僕だけではなくて、まだ弱小政党だったナチスに大量の党員希望者が出たことはプロパガンダ、プロパガンダ映画の金字塔(っていっていいのか分からないが)になっている。
『意志の勝利』はドイツで公開される時は大きな制限があるという。
『民族の祭典』はそうでもないようだが、いずれにしてもすごい映画である。
様式美というものを極端に追求している。
今日は妻が今頃、第九のソロを歌っている頃なのだが、カラヤンの第九のレーザーディスクを観た時も、レニと同じような姿勢を感じた。
明らかに戦争に大きな影響を与えているのに、罪を問われなかった人がもう一人いる。
昭和天皇だ。
どちらも戦争を表象した人なのである。
歌舞伎の女形が女性を模倣せず、象徴でもなく、表象しているのと同じように、戦争を表象したのだ。
どの人もそうだが、ヌバが出た時には度肝を抜かれた。
オリンピアを一人で追求したのだった。
ヌバ族の男女の筋肉美!
レニに関してはこの映画があり、『ヌバ』も『回想』も文庫になっていて所有している。
さらに多くの研究書も出ている。
美が社会、時代、政治などと無関係でありうるのか、関係があるのか?
後出しジャンケンみたいな、後々の倫理観で昔の人を裁けるのか?
わからなくなって、アウシュビッツの現実の前に立ち尽くしてしまう。
すごいのはこの映画でアクアラングで映画を作っている場面が出てきていて、100歳を迎えた2002年に『ワンダー・アンダー・ウォーター 原色の海』を完成させたことだ。
やりたいことがいっぱいある、と晩年にも語っていた。
原爆投下についてトルーマンだけが裁けるのか、計画したローズベルトはどうなのか、進言したアインシュタインは無実か、うすうす知りながらマンハッタン計画に加担していた科学者たちはイノセントなのか?
どれだけ観ても、読んでも、答えは出てこない。
それにしても不思議なのは、僕がレニの映画のどれもそごうデパートで観たことだった。
どういう資本関係があったのだろう。
生涯バッシングを受けたにもかかわらず、百歳近くになって「人生にYESと言いなさい」といえるだろうか?
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