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ロイ・ビーン

ロイ・ビーン

THE LIFE AND TIMES OF JUDGE ROY BEAN

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4.0

二つの大義

1972年。ジョン・ヒューストン監督。西部の無法地帯に現れた元々は無法者のロイ・ビーン(ポール・ニューマン)は「正義」に目覚めて力で平和な町を作っていく。しかし、崇拝する女優を見に行っている間にお産で妻に死なれたうえに町を乗っ取られて、、、という話。「法」を作る男が依拠する破天荒な「暴力」と「正義」の話。女優(エヴァ・ガードナー)への崇拝を「法」と同列に扱って二つの大義を追いかけるというのがミソ。 ロイ・ビーン自身が無法者ですからかなり自分勝手に法を解釈するのですが、誇り高き無法者がいなくなって、みんなが「法」の秩序に従順になっていく姿を批判的に描いています。と同時に、現実の妻たちに満足している周囲の男たちとは異なって舞台女優への崇高な愛情を失わないことで、理想を失っていく西部への批判になっています。二つの大義は偶然ではなく、理想を追いかける男が時代遅れになっていく悲劇という同じ事態を描いている。 母の代わりに生まれた娘がジャクリーン・ビセットで、力強い娘を演じています。(そういえばロイ・ビーンと妻が最初に関係を結ぶときに熊が現れて、それからその熊を飼うことになるのですが、これは女性表象との関係でとても気になる描き方です。)最後の乱闘シーンのカメラワークはいまいち。燃え盛る街のなかを馬に乗って敵を追い詰めていく緊迫感がまったくないのは残念な限り。

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