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上映中

ローマの休日 (1953)

ROMAN HOLIDAY

監督
ウィリアム・ワイラー
  • みたいムービー 568
  • みたログ 7,725

4.65 / 評価:1,925件

傑作の名にふさわしい出來

  • Masato さん
  • 2019年12月15日 1時39分
  • 閲覧数 685
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

名作に隠れた赤狩りの記憶

言わずと知れた名作

ラブコメの元祖にして頂点。最後の結末はもう知っているのだが、それでも切なくなってしまう。こうしてクラシックフィルムを見るたびに、傑作というものは色褪せないんだなと思わせてくれる。

もう誰もが知り得ている作品なので、既知なレビューにはなるが、悪しからず。

偽りの庶民・王女という、アラジンやらシンデレラやら、色んな物語でやられている話で、本作でもシンデレラの物語が言及される。そんなありきたりな内容であっても、唯一無二の絶対的な面白さがあるところが見事。

全編ローマでロケをするという、当時としては全編ロケは初の試みなのにも関わらず、ローマという地域の観光的な意義も含まれたラブコメになっているところが唯一無二の映画にさせている。見せ方も上手で、60年程経った今でも、これをやらない映画もあったりして、そういうのは大抵面白くない。1950年代にすでにやられているってことがウィリアムワイラーの天才ぶりが分かる。

また、コメディが純粋に面白い。終始ニヤニヤが止まらず、お互い偽りながらもメチャメチャ楽しんでる姿とか、派手にやらかしたりしたり、やはり女王ならではの庶民とのギャップとか、ベタベタだけど最高に面白いんだなこれが。
ローマの人々の人の良さを感じられるようなコメディも見事で、喧騒の街並みに馴れていない女王との関わり合いが面白い。観光的でもありながら、地域に根ざした人々のパーソナリティも描いているのが良い。

そして、この身分の差による叶わぬ恋模様。これもベタベタだけど、切なくなるね。やはり、ありきたりでも見せ方次第なんだよね。元祖にして、他の映画でやり尽くされても負けていないという素晴らしさ。

映画構成の比重も良く、どこを観客に一番に伝えたいのかが明確に分かる。終盤のシーンは無言のタメを使いまくって、微細な表情の変化を重点的に、濃厚に描いていることで、言葉では言い表せない心情描写を見事に演出。必ずしもセリフに言い表さない映画としての意義を強く見出すラストが素晴らしい。

本作がただのラブコメではなく、非常に当時のアメリカ・ハリウッドの社会情勢を色濃く反映している点も見事。ダルトン・トランボが他の人の名前を使って脚本を作り、なんと原案賞をとってしまったという逸話は、現在なっては有名な話である。トランボの伝記映画も作られて知る人はかなり多い。

ダルトン・トランボは、自身の実体験を、あらゆる形にして映画の物語に落とし込んで伝えるということをすることで有名だが、本作も例外ではない。当時は、ハリウッドで赤狩りの真っ只中。共産主義者であるトランボもハリウッドテンの一人として糾弾され追放されていた。

そこで、本作のアン女王が、王家であるが故に職務に縛られて身動きが取れず、反抗して外に出てしまうという話。王家は赤狩りを意味していることが分かる。

そして、アーニャと偽って街中を自由に動き回るのだが、これは、まさに偽名を使って脚本を書いているトランボ自身そのまんま。偽名を使えば自由にハリウッドでも仕事ができる。

そんな中、新聞記者ということを黙ってアン女王に密着しているジョーは密かに特ダネを隠し撮り。それを新聞社に高い値段で売って一儲けしようと画策する。これは、当時ハリウッドにいる共産主義者を、現在の司法取引のような形で、「共産主義者の仲間を吐けばお前は捕まえない」という形で密告させ、芋づる式に捕まえようとマッカーシー議員らはしていた。

本作では、愛することで新聞社に特ダネを売ることをやめて、二人だけの秘密にしようとするのだが、それは、トランボが絶対に仲間を売ろうとしなかったという自分の信念を物語に落とし込んでいる。最後のアン女王のセリフに「人と人との繋がり」という言葉が強調されて描かれているが、これは、トランボが人と人との繋がりを、赤狩りで密告が相次ぐなかで大切にしたかったものなのだろう。

こうして、至る所に自分の実体験が入り込んでいるところが社会派でもある。ラブコメと社会派を同時にして描くのが凄い。
トランボの描くストーリーは、「囚われの身から脱出する」というものが多い。「パピヨン」や「栄光への脱出」とか。栄光への脱出なんかは、原題が「Exodus」なので、そのまんま。本作も言われれば「王家からの脱出」。

また、監督のウィリアム・ワイラーも共産主義者ではないが、赤狩りには真っ向に反対した人であり、結果的に自分のキャリアを守るために赤狩りに協力するしかなかったことを後から本気で後悔している。ローマの休日に隠された、休んでなどいられない赤狩りの真実に、誰もが驚愕しただろう。

オードリー・ヘップバーン、グレゴリーペッグよかった。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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