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ロレンツォのオイル/命の詩

しん

5.0

ネタバレ愛が救った多くの命

今日は「おちゃらけ」なしでレビューします。 と言うか、「おちゃらけ」出来ない映画です。 不治の病ALDに掛かった息子と、 必死に息子を支える両親を感動的に描いた実話。 ALDとは、副腎白質ジストロフィーの事で、 先天的な脂質代謝異常によって脱髄が起こる白質ジストロフィー ないしペルオキソーム病の一種で、 特定疾患として認められた難病の一つである。 遺伝子病の一種で、その遺伝子を遺伝するのは母親側で、 役50%の確立で「男児にのみ」発症し、 主に5~10歳の間に発症しやすいそうである。 その症状として、いきなりヒステリーを起こし、 行動異常、言葉がスローになり、 歩行困難、失明、無言症、皮膚剥離、症状が急速に進行し、 発症後二年以内に亡くなる不治の病。 もし、あなたの息子が不治の病に掛かったら? 映画では、一つの手段が描写されている。 治療法を見つけるのは不可能だとする医師や科学者。 オーギュスト(ニック・ノルディ)とミケーラ(スーザン・サランドン) 夫妻は、ALD支援団体の会に出席するも 哀れな息子達を慰め合うだけで、効果的な治療法が見つけられない。 医学的な知識がないにもかかわらず、自力で治療法を探す決意をする二人。 医学図書館に通い詰め、動物実験を参照し、 世界中の研究者や一流の医学者らに問い合わせ、 自らALDに関する国際的シンポジウムを組織するまでになる。 そして、不治の病と言われた難病に効果的な方法を見出す。 全くの無知な人間が、医師や科学者でも成し得なかった事を成し得る。 わずか二年の間に発見し、たくさんの子供の命を救う事になる。 子供への「愛情」以外の何ものでもない。 「愛」は奇跡をも起こすのである。 映画では、エンドロールでその実写が紹介され感動の涙を誘う。 ただ、二人の息子のロレンツォに関しては、 処置が遅れた為、劇的な回復は見られなかったが、 簡単な意思表示や絵本や音楽を楽しむまでに回復した。 2008年肺炎の為30歳で死去したが、 死の宣告から20年以上も生き、不治の病ALDは克服したのだ。 この映画では、登場人物の名前も全て実名が使われている。 そして、ニック・ノルティ、スーザン・サランドン、 ロレンツォ役の子供の演技が素晴らしい! 三人の苦悩と闘病の日々の描写は、鬼気迫るものがある。 迫真の演技に魅せられ、自分が同じ立場に立たされた心情になる。 これは言葉では言い表せない。 是非、映像で見て頂きたい。 私はこの映画を観て、 あるドキュメンタリー番組を思い出した。 「何十万人に一人」 と言われた難病に侵された子供と母の会話・・・ 「何故、僕だけ人と違うの?」 「あなたは、選ばれた特別な子」 「たくさんの人の命を助ける為に選ばれた子」 「だから人とは違うの」 自分が犠牲になる事で、何十万もの人の命を救った息子。 そんな息子を哀れむよりも、誇りに思った母親。 その一生を医学の発展の為に捧げた母と息子。 日々健康に暮らしている人間の裏に、 人々や医学の為に落とす命もあると言う事実。 その事実を忘れてはいけない。

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