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我が道を往く (1944)

GOING MY WAY

監督
レオ・マッケリー
  • みたいムービー 24
  • みたログ 173

4.26 / 評価:47件

素晴らしい歌とユーモア

  • bar***** さん
  • 2020年8月29日 8時28分
  • 閲覧数 83
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

我が道を往く。

いくつかある劇中歌がとにかく素晴らしい。

ビング・グロスビー、リーゼ・スティーヴンスといった有名な歌手を起用した今作は、いたるところで美しい音楽が流れている。

物語は、若い神父が新任としてやって来て、その裏表のない明るい性格によって、周りの人をどんどん輝かせていくというもの。盗みを働いていた子供たちを聖歌隊に仕立て上げていくストーリーは胸が温かくなる。

神父が堅苦しい説教などをせず、奔放な若者たちに理解を示すのは、実はそう珍しいストーリーではない。ただそのキャラクター造形は意外と難しい(どこまで許容し、どこまで神父らしさを出すか、といったバランスが難しい)ので、作者の良識やバランス感覚がストレートに出てくるところだ。ここはおおむね満足。オマリー神父のキャラクターは見事。

また作中に流れている雰囲気も良い。堅苦しい道徳譚にならないようにしながら、登場人物たちの衝突を、スマートなやり方で回避する。この際重要になってくるのは、ユーモアだ。機智やエスプリと言ってもいい。

(例えば、家出したキャロルと不動産屋の息子テッドは、父の家でだらしない姿でいちゃ付いている。わけを聞くとナンパから始まった恋らしい。結婚するというテッドに、彼の父は「お前には一族の誇りがないのか」と激昂するが、テッドは「ちょっと着替えてくるよ」と言って部屋の外に行く。すると彼はなんと軍服を着て帰って来る。この映画の上映当時は第二次世界大戦時。これから戦地へ行くのだ。キャロルとテッドはキスを続けるが、もうそこに破廉恥さとか軽薄さは見当たらない。厳粛な愛と別れの表現があるだけだった。彼の父は言外に自分の過ちを認め、キャロルを家族と認めるのだった)

このユーモアという技術は言語化しにくく、またその効果もはっきりと言語化しづらいので、たいていの作者にとって後回しにされがちだが、今作にはユーモアがあって、それが重要な要素になっている。今作を見れば、どれほどユーモアが大切か分かる。主人公が「神父」だからだ。悩みを抱えている人々を前にしたとき、彼が堅苦しい説教を始めずに、ユーモアで接していくところを、クリエイターはちゃんと見た方がいい。ユーモアは相手を笑顔にし、信頼感を生まれさせる。それでいてメッセージ性を弱めない。とても大切な技術なのだ。現代の作品は効果を狙い過ぎた定型爆笑漫才が多くなって、こういった「創造的なユーモア」は減っている。でも頭を使って勉強する価値がある技術だ。

この映画のストーリー全体としては、昔ながらのイギリス人情物語という枠から出ていない。それが好きな人には大ヒットするだろうが、いささか似たようなストーリーが作られ過ぎた感が自分にはあった。制約のない自由なストーリーが見たかったが、それは監督の求めるところじゃなかったかもしれない。温かい、誰もが理解できるストーリー。その中ではかなりレベルが高いので、誰にもお勧めすることができる作品だ。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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