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若者のすべて (1960)

ROCCO E I SUOI FRATELLI

監督
ルキノ・ヴィスコンティ
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  • みたログ 384

4.08 / 評価:125件

カラマーゾフの影

  • ogi******** さん
  • 2020年11月6日 11時37分
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

「若者のすべて」1960

原題は「ロッコと兄弟達」。父が急逝し老いた母は四人の息子達を連れて南イタリアの田舎村から長男が住む北イタリアの都会へ。

都会で生きる兄弟達のそれぞれの運命。喜びと悲しみ。取り返しがつかない悲劇。

コッポラが「ゴッドファーザー」を作る時に参考にしたそうな。なるほどと思った。

そして「カラマーゾフの兄弟」も思い出した。ボクサーから身を持ち崩し酒と女に溺れる次男シモーネはドミートリー・カラマーゾフに重なる。そして純粋な三男ロッコはアリョーシャ。

もちろん原作も映画もカラマーゾフの兄弟の丸写しではない。いわば「カラマーゾフの兄弟の主題による変奏曲」と言った感じ。特に原作小説の1エピソードを複数の脚本家が膨らませたらしいのでヴィスコンティが主導して作ったオリジナルストーリーとも言える。そういえば「若者のすべて」の3年前にドストエフスキー原作の「白夜」を撮っている。

ジュゼッペ・ロトゥンノの夜間撮影が素晴らしい。わざとらしくなくメリハリが効いている照明。

アラン・ドロンが純粋無垢な青年を好演。娼婦を演じたアニー・ジラルドが素晴らしい。一見いかがわしく悪ズレした外見の中に潜む脆さに涙してしまう。この人だって子供の頃はこんな人生を歩むとは思っていなかっただろうという描かれない過去まで想起させる。

悲劇の後に家族は再び歩み始める。いつか故郷に帰る日を夢見て。

「ミラノにくるんじゃなかった。あのまま故郷にいれば」
「だが故郷の暮らしはただ人に従うだけだった」

従属するだけの退屈な田舎の暮らし、自由とその引き換えの危険や悲劇が溢れる都会の暮らし。

これは現代にも通じるテーマだ。

観終わった後しみじみ良い映画だったと思った。昭和30年代の日本を思い起こした。四男しっかり者のチーロはアルファ・ロメオに就職し婚約者を得る。高度成長期のあらまほしき姿だ。あれから60年、現在アルファ・ロメオはフィアット・クライスラー・オートモビルズの傘下になった。

戦後の高度成長期からグローバル資本主義の今。なんと変わってしまったことか。

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