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私は告白する (1953)

I CONFESS

監督
アルフレッド・ヒッチコック
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  • みたログ 201

3.78 / 評価:55件

無信仰でもちゃんと伝わってくる

  • nop******** さん
  • 2020年2月2日 19時27分
  • 閲覧数 347
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

当の監督はユーモアがなくて重苦しい、と辛口評価している本作。ところがどっこい、テーマ・映像美・演技の素晴らしさなど、映画の快感が詰まっててなかなか楽しめました。

 犯人から殺人を告白された神父が、容疑者として疑われながらも告白の秘密を守り抜く-神父の深い信仰と高潔な人格が伝わってきて感銘を受けた…のですが、当時の観客は神父が秘密を守り通せるはずがない、と思っていたんだとか。むしろ秘密を暴露することを観客は期待していたようだ、と監督の弁…へぇー。

 私は無信仰ですけど素直に納得して受け入れられましたけどね。だって神父が口を割らないのがこの映画のキモでしょ。プロットはご都合主義かもしれませんが大して気にならなかったです。信仰というテーマを軸に、冤罪と群衆の恐ろしさも描いていて、見応えがありました。

 映画は監督の力だけで成り立つわけではない…名優に彩られたヒッチコック映画ですが、本作も御多分に漏れず名優揃いです(ヒロインを除く)。アン・バクスターだけは少々見劣りします、、感情の起伏に乏しい表情とかね。ヒッチコックも不満をタラタラ述べてますけど、自作品の出演女優をボロクソに言うって、ある意味スゲーな。

 主演のモンゴメリー・クリフトは演技について監督と対立することもあったようですが、この人の演技が本作の全てなんじゃないか、って思うくらい見事ですね。非現実的なほどに潔癖な神父を体現してます。現実世界の神父や坊さんって、私はあまり信用してませんのでね。煩悩のかたまりみたいな輩が多いでしょ、実際は。でも本作の主人公は、神父は皆こうであってほしい、というお手本のような存在。でもクリフトさんの演技、当時の批評家からの評価は低かったらしい。うーむ。

 主役以外の、犯人とその妻、警部を演じてる俳優らも良かったです。瞳は雄弁に語る。視線や眼差しで思いや関係性を語る演技の妙。良心を捨てた夫と良心を貫く妻が対照的で、印象に残りました。みんな品があるよなぁ。存命してない俳優に出会えるんですからね、、、映画はタイムマシンだな。

 スタジオ撮影がお好きなこの監督にしては、ロケ撮影が多い本作。風景の美しさも見所の一つです。ケベックの街並みから主人公の心情が見えてくるような…。冒頭からドキッとさせられて引き込まれますよ。一方通行標識のカットがなんだか怖い。街並みのカットと交互に見せながら死体現場へ観客をいざなう。…こういう所はさすがだな。検事の妙ちくりんなお遊びや、林檎をかじってる野次馬おばさんなど、細部へのこだわりを探すのも楽しい。

 中盤の回想シーンで、神父と人妻の安っぽいロマンスが描かれるところだけ少し退屈でした。女優のせいなのかなあ。信仰と冤罪、という興味深いテーマの前には不倫劇など霞んでしまう。実際には不貞は働いてないらしいけど、被害者との関係を説明する上で必要なエピソードなんでしょうね。あくまで人妻目線の回想なので、羅生門的な要素でもあるのかもしれん…分からんけど。

 この年代の映画にしては映像が美しいのでBlu-Rayで見た方がいいですね。面白かった。

詳細評価

物語
配役
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音楽

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