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悪い種子(たね) (1956)

THE BAD SEED

監督
マーヴィン・ルロイ
  • みたいムービー 29
  • みたログ 63

3.93 / 評価:27件

“悪い種子”って身も蓋もないんですが・・

  • 一人旅 さん
  • 2016年7月4日 21時25分
  • 閲覧数 1237
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

マーヴィン・ルロイ監督作。

最愛の一人娘・ローダが生まれながらの殺人鬼であるという事実を知った母・クリスティーンの苦悩と葛藤を描いたサイコサスペンス。

“子どもが怖い”が印象的な作品と言えば、『噂の二人』『ザ・チャイルド』『小さな悪の華』『悪を呼ぶ少年』『危険な遊び』『エスター』『偽りなき者』など数多く存在するが、本作は子ども目線で子どもの悪意を描くのではなく、殺人鬼の娘を持つ母親の視点で物語が進行していくのが逆に好印象だ。愛する一人娘が生まれながらの殺人鬼であるという驚愕の真実を目の当たりにしたことで、無実の人々を自分の娘が死に追いやったことに対する良心の呵責と、最愛の娘に対する偽りのない愛情の狭間で葛藤する母親の姿を描き出す。

娘の口から淡々と語られていく殺人の記憶。全く悪びれる様子もなく、まるで人を殺すのが当然であるかのような口ぶりが心底恐ろしい。自分が欲しい物を相手が持っている...ただそれだけの理由で人を殺し、目当ての品を自分の物にする。恨みとか憎しみとか、そういった強い負の感情に突き動かされた末の犯行ではない。もっともっと単純に、子どもらしいささいな所有欲が殺人の直接の引き金になっている点に救いがない。
自慢の優等生だと思っていた最愛の娘の隠された本性に気付いたクリスティーンが浮かべる戸惑いと絶望の表情が印象的で、精神的に追い詰められた末に下す彼女の決断に言葉を失う。衝撃的で救いのない結末だが、最後にオマケ映像的に母娘がじゃれ合う無意味なカットが映し出される。心に負担の大きい映画なので、最後にホッとできるよう優しく配慮されている(無理矢理ですが)。

育てられた環境ではなく「遺伝」が人を殺人鬼にする要因だと断定しているのがちょっと気になる。軍人の夫を持つクリスティーン一家は上流家庭で、子どもを育てる環境としては申し分ない。しかしそんなことはお構いなしに、殺人鬼の遺伝子を受け継いでいるという理由だけで、問答無用でローダは殺人鬼として登場している。これは下手すると犯罪者の子どもに対する偏見や差別を生みかねないのでは...?本作が製作された1950年代当時の遺伝研究がどの程度のものだったのかは知らないが、結構思い切ったんだなあ~。今だったら人権団体が黙ってなさそう。

また、役者の演技が絶品。サイコパスの娘・ローダ役のパティ・マコーマックが見せる憎たらしさ全開の演技ももちろん素晴らしいのだが、それ以上に、母・クリスティーンを演じたナンシー・ケリーの気迫のこもった演技は圧巻。物語が進むにつれ、困惑・怒り・悲しみ・絶望...とその表情を変えながら、社会に対する責任と娘への愛情の両方に押し潰されていく母親を熱演している。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • 不気味
  • 恐怖
  • 絶望的
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