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ワンダーガールズ東方三侠 (1993)

東方山峡/THE HEROIC TRIO

監督
チン・シウトン
ジョニー・トー
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3.06 / 評価:18件

香港映画だからこその魅力

  • lamlam_pachanga さん
  • 2010年10月25日 20時27分
  • 閲覧数 506
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

個人的には「これぞ90年代の香港映画!!」と喝采をあげたくなる映画です。勿論、映画の好みは千差万別と言うのは理解してますので、それを押し付ける気は毛頭ありません。

皆さん、香港映画の魅力って何だと思います?

(私個人の嗜好なんてどうでもいいでしょうけど)それを告白すると、私にとっての香港映画の魅力とはその「灰汁の強さ」です(と言うわけで少々私論を展開しますので面倒な方はここで読むのを止めて下さいね)。

欧米の映画や、他のどの国の映画にも感じられないこの「灰汁の強さ」は、特に彼の地の娯楽作品を観る時ほど強烈に感じるもの(まあ、最近はタイに似た空気を持つ映画がチラホラですけど)。

この「灰汁」とは、そのまま映画にとっての「濁り」だと思って下さい。

香港映画の多くには、この「濁り」が物語の中に浮いています。

どうでもいいギャグシーン、どうでもいい台詞、延々と続く無駄なアクション等々・・・私の言う「映画の濁り」とは、これらの映画=物語にとって不要なシーンの数々のこと。

それは大人の香りを放つ欧州映画は元より、その「濁り」さえも垢抜けているハリウッド映画ではそうそう感じられるものではありませんが、香港映画にはこれが満載(笑)

そしてこの「濁り=灰汁」こそ香港映画界のバイタリティの証左であり、それこそが香港映画の独自性であるとの想いから、私はこれを歓迎しています。

反面、それが香港映画が(あくまで欧米映画と比して)日本で市民権を得られない理由であると言うのも否定出来ない事実です。

その点で言えばこの『ワンダーガールズ/東方三侠』は、確かにB級娯楽映画とでも評される映画。

物語自体、実に他愛ない。三人の女傑が少々ダークな世界で大暴れする、ただそれだけ。なのに、下らないギャグ・アクション(ドラム缶に乗って宙を舞うだとか、電線の上を駆けてくる正義の味方だとか)が釣瓶打ちにされるんですから、それを満面の笑みで観る人(私)なんてのは、きっと少数派でしょう(笑)

この当時(90年代初期)の香港映画には、ツイ・ハーク一派が興したアクションの革新期にあって粗雑なほどに素早い編集と笑えないくらいの早回し、そして開いた口が塞がらないワイヤーワークが横行していました。

これらの発端はツイ・ハークが製作した『スウォーズマン/剣士列伝』の大ヒットにあり、以降、ほとんど全てのアクション映画が否応なくこの影響下に置かれています。

本作も例外ではないのですが、この映画の場合はもっと端的な要因がある。

それは本作の武術指導(アクション演出)を担当したチン・シウトンの存在。

彼こそがワイヤーワーク全盛をもたらした張本人であり、上記『スウォーズマン/剣士列伝』の武術指導を担当した人。自然、両作の見栄えは似通ったものになります。

この当時、武術指導家としてのチン・シウトンは引っ張りだこの状態です。また、彼(つまり本作)のアクション演出こそが香港映画のスタンダードでもありました。

だから本作は素晴らしい娯楽映画だ、とは言いません。

但し、本作が当時の香港映画界が持てる人材を存分に注ぎ込んで、100%本気で製作されている娯楽大作であることは間違いのない事実である、と言うことだけは言っておきたい。

人材は、何もチン・シウトンだけではない。

本作の出演者は超豪華。

主演にアニタ・ムイ。相変わらずの姐御っぷりを遺憾なく発揮(早逝が悔やまれます)。

邪教に仕える自分の立場に悩むのは、いつも真面目なミシェール・ヨー。

末娘的な扱いで、どこかお転婆な姿を披露するのはマギー・チャン。

香港映画界が誇る大女優三人が、他の男優のお飾りではなく堂々と映画の主軸に据えられて展開する荒唐無稽な正統派活劇は(敢えて正統と言います)、香港映画ならではのパワフルな魅力に溢れています。

そして、何故かこのYahoo!映画情報では「監督チン・シウトン」とクレジットされていますが、これはとんでもない間違い。

本作を指揮したのは、あのジョニー・トー。

90年代後半になると、独自の作家性を追及する彼も、この当時はまだまだ立場が確立されていない、イチ映画監督。ある意味では、現在のジョニー・トーとの共通点をひとつも目にすることの出来ない本作は、香港映画人たちの実践主義を知る貴重な映画でもあります。

賛美を並べましたが、くれぐれも勘違いされぬ様。本作は、100%、間違いなく、絶対に万人受けしない映画です(娯楽活劇なのに)。

香港映画常連者、及びチン・シウトンのファンの方には安心してお薦めします。

但し、現在のジョニー・トー映画のファンの方、ヘタに彼の経歴コンプリートを目指すと手痛い反撃に遭いますので、そこは十分にご一考されたし。

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