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映画に愛をこめて アメリカの夜 (1973)

LA NUIT AMERICAINE/DAY FOR NIGHT

監督
フランソワ・トリュフォー
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  • みたログ 487

4.17 / 評価:142件

欧州映画もいいもんだ。

  • shinnshinn さん
  • 2018年8月5日 8時44分
  • 閲覧数 550
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

1973年公開の仏人監督・フランソワ・トリュフォー作品です。ハリウッド映画とは明らかに違う雰囲気が個人的にはツボですが、ちょっと、この映画の良さを説明するのは難しいです(とにかく、なんかキレイ)。まあ映画撮影現場のあるある話なのですが、高評価の理由には鮮明で高潔な音楽と、美し過ぎる主演女優・ジャクリーン・ビセットの存在が大きい。そして、トリュフォーの<映画に対する愛>です。映画作りに対する真摯な態度です。この方はご家庭が上手くいかなくなるほど、亡くなるまで映画作りに没頭していたらしい。本作は映画の冒頭からハリウッドに対するリスペクトの気持ちを前面に押し出している為(かどうかは分かりませんが)、第46回のアカデミー外国語映画賞を受賞しています。


舞台は仏ニースのヴィクトリン映画撮影所です。「パメラを紹介します」という映画の撮影風景を絡めた映画のバックステージ(楽屋裏)ものです。映画制作者の苦労や、スタッフや俳優の人間関係のトラブルなども絡めますが、決して深刻にはならず、それでも淡々と進行する映画制作シーンが面白い。決めることが多い映画監督の日常が興味深い。題名の「アメリカの夜」とは、日中に夜のシーンを撮影するため、カメラに特殊フィルターを付けて撮影する映画手法の事で、フランスの業界ではそれを「アメリカの夜」と言うらしい。題名からアメリカの暗部を鋭くえぐる社会派映画を連想すると、肩すかしを食らいます(トリュフォーは暴力が嫌いなので戦争映画や西部劇は撮らず、政治にも興味がなかったので、生涯、恋愛映画しか撮らなかったとか)。


劇中の映画監督役をトリュフォーご自身が等身大で演じていて、その演出法は普段の氏そのものと言う証言があります。つまり、仕事が穏やかできめ細かく、決して俳優やスタッフを怒鳴ったりはしない。常に冷静で、落ち着いた欧州紳士という感じです。黒澤さんのドキュメンタリーなんかは、割と演出風景で黒澤明の怒鳴っているシーンばかりが多いので、それを見たご本人が「これじゃ、俺がいつも怒っているみたいじゃないかぁ」とまた怒っていたとか(笑)。


戦前から1970年代の始めぐらいまでは、ある一定数のフランス映画が日本でも公開されていましたが、近年は滅多にヨーロッパ映画が入って来ませんね(東和映画が欧州から輸入したり、淀川長治氏が盛んに喧伝したりと頑張っていたのだが・・・)。ヨーロッパ映画はペイしないという空気ですね。ヨーロッパ映画のクオリティが下がったとは思えないのだけれど・・・。ハリウッド映画なんかよりも日本人の気分に合っている映画も沢山あるはずなのだが・・・。ひょっとすると、昔の映画ファンに比べると、鑑賞者としての質の低下があるのではないのか・・・。自分の世代がもっと積極的にヨーロッパ映画を見ていれば・・・少し反省もしています(安直に、仕掛けが派手でスターの名前でお客を呼び込む、ハリウッド映画に走ってしまった罪は自分にもあると思う)。結構な量でつまらないハリウッド映画や邦画が垂れ流し公開されている昨今、その隙間にほんの少しでも欧州映画を挟めないものなのか。もう少しアメリカ以外の外国映画(欧州だけではなく、アジアとかも含む)も見ないとバランスが取れないのではないのか。日本人の食生活はクロワッサンでもパスタでもカレーでもキムチでも、なんでもござれなのだが、映画はハリウッド映画か、邦画かと選択肢が狭い。


DVDの特典映像にジャクリーン・ビセットのインタヴューがあり、当時、主演俳優の恋人役のような添え物的な役ばかりだった自分に、フランスのトリュフォーから<主演女優>のオファーがあったときは、物凄く嬉しかったと回想していました。この方は本当に目が艶っぽい。

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