ここから本文です

非情の時 (1956)

TIME WITHOUT PITY

監督
ジョセフ・ロージー
  • みたいムービー 0
  • みたログ 3

4.00 / 評価:1件

父親の究極の愛情が胸に刺さる

  • rup***** さん
  • 2017年5月21日 23時18分
  • 閲覧数 221
  • 役立ち度 1
    • 総合評価
    • ★★★★★

赤狩りでブラックリストに載ったため、アメリカを離れて別の名で映画を撮っていたジョセフ・ロージー監督が、亡命後初めて本名をクレジットに出すことができたことで知られている作品。

冒頭で、1人の若い女性が殺され、その犯人の顔が観客に示される。ところが、殺人罪で死刑宣告を受けたのは、別の若い青年アレック(アレック・マッコーエン)。逮捕や裁判の過程などすっ飛ばして、いきなり死刑執行の前日の話になるという、無駄のない場面転換が見事な始まり方です。
冤罪で捕らえられ死刑になるアレックの父デヴィッドが突然現れます。それまでアルコール依存症で施設に入っていたデヴィッド(マイケル・レッドグレーヴ)は、事件の関係者を訪ね歩いて、死刑執行の時刻までに何とか息子の無実を証明しようとするのですが…。

刑事でも何でもない素人の男が限られた時間内に死刑執行を阻止しようとする物語なので、下手をするとかなりご都合主義的で荒唐無稽な展開になりそうですが、本作はその辺りもきちんと踏まえられていて、タイムリミットがあるという緊迫感と、父親が途中アルコールの誘惑に負けそうになりながらも息子を救うことに全身全霊を傾けて真相究明に努めようと奔走する様を観ているうちに、どんどんストーリーに引きこまれていきます。

ロージー監督は、冤罪や死刑制度の問題点を指摘しつつも社会派映画のような堅苦しい描き方をせず、何とか息子の冤罪を晴らそうとする父親の行動を追うというスタイルを貫いているので分かりやすく、また、父親と息子の関係というものも合わせて描かれているので、感情移入しやすい作品です。

息子は、執行前日にようやく現れた父親に不信感しかなく、これまでないがしろにされてきたことをひどく恨んでいる。やがて、父が自分のために必死で動いてくれていることを知り、父に対して心を開く場面もあるものの、2人の間のうまく噛みあわない感情の描き方が印象的。

この辺りは、ロージー監督自身が早くに父親を亡くして辛い思いをし、また、自分の息子とも、突然イギリスに亡命してから何年も会うことができなかったことにより溝が生じてしまったという出来事が作品に反映されているようです(確か「四つの名を持つ男」というロージー監督のドキュメンタリー映画でも語られていたように記憶しています)。

冒頭で真犯人を見せているので、犯人探しやスリリングな謎解きのような展開があるわけではなく、そういった点での面白さはないのですが、本作は、ラストがとにかく素晴らしい。
たいへんショッキングでありながら、父親が息子に対してここまで献身的な愛情を示せるのかというその思いに感動せずにはいられませんでした。

父親役のマイケル・レッドグレーヴ(ヴァネッサ・レッドグレーヴのお父さん)の真摯な演技に魅了されます。マーガレット・ロックウッドと共演した「バルカン超特急」での明るいキャラクターが印象深いですが、本作では、息子にとってはダメ親父と言ってもいいようなごく普通の父親の姿を見せていて、歳も取ってくたびれた雰囲気もうまく醸し出しています。

アン・トッド、レオ・マッカーン、ピーター・カッシングといった他のキャストの渋い演技もよく、個人的には、007シリーズのマネーペニー役で知られるロイス・マクスウェル(まだ若い!)が出ていたのが嬉しかったです。

<2002年5月のNHK-BSでの放送を録画した古いテープが出てきたので、鑑賞してみました>

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 悲しい
  • 勇敢
  • 絶望的
  • 切ない
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ