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生まれながらの悪女

生まれながらの悪女

BORN TO BE BAD

94

rup********

4.0

ネタバレ悪女演技もお手のもの

ニコラス・レイが監督をしているので、日本では劇場未公開ながら国内盤DVDが出ている1950年製作のRKO作品。 「生まれながらの悪女」というタイトルの女性クリスタベルは、自らの意思を示さずに、結果的に自分の思った通りに人が動いてくれるよう仕向けるという巧妙なやり口で周囲の人たちを手玉に取り、加えて、男性は、彼女の美しさにも惑わされて知らず知らずにその意に従ってしまうという恐ろしい毒を持った女性。 この危険な女性をジョーン・フォンテーンが演じていて、フォンテーンの一般的なイメージとは大きく異なる役柄ですが、彼女の美貌がクリスタベルという女性の存在に大きな説得力を与えています。そこに、オスカー女優としての演技力が乗っかってくるわけですから観応え十分。 望み通りに事が運ぶと、いちいちしてやったりという表情を見せるので、観ていてとても分かりやすいです。 クリスタベルの毒牙の標的となるのが富豪のカーティス(ザカリー・スコット)で、彼にはドナ(ジョーン・レスリー)という婚約者がいるにもかかわらず、クリスタベルの策略に見事に引っ掛かって、誘惑されてしまう。 クリスタベルには、もう1人肉体的に惹かれあう関係の作家ニック(ロバート・ライアン)がいて、彼女がカーティスの財力とニックの性的魅力のどちらもキープしようと考えたところから、やがて破綻が訪れることに。 この破綻は、彼女がついていた嘘が大々的にバレるという単純明快なものなので、その瞬間は「痛快TV スカッとジャパン」で成敗される悪女並みに観ていて溜飲が下がります。 ただ、そのあとクリスタベルが全く反省せずに、性懲りもなく・・・というコミカルなタッチになっていて、彼女の肖像画の値段が吊り上っていくというのも、個人的にはなかなか面白い締めくくり方だなと思ったのですが、このラストはニコラス・レイが関知しないところで差し替えられていたそうで、男性がファム・ファタールによって破滅させられて終わるフィルムノワールのようになっていたら、もっと完成度の高い作品になっていたのかもしれません。 フォンテーン以外のキャストについて言うと、クリスタベルに翻弄されるザカリー・スコットとロバート・ライアンは、2人とも悪役を演らせたら凄く光るのに、本作ではフォンテーンの受けに回っていて、あまり本領が発揮されていない感じがします。 画家の役で登場するまだ映画デビューして間もない頃のメル・ファーラーのほうがのびのびと演技をしているように思いました。 また、クリスタベルにカーティスを奪われるドナを演じているジョーン・レスリーは相変わらず可愛らしいです。ただ、本作では傍役に甘んじていて、正面切った本格的な2人のJoan対決が観られないのは残念。 アイドル的存在で大人気だったワーナー時代のことを考えると寂しい限りですが、50年代に入ると、結婚を機に女優の仕事をセーブしていったようなので仕方ないですね。 そうはいっても、彼女には、アラン・ドワンが監督した「私刑される女」「女の戦場」(ともに国内盤のソフトあり)という2本の主演クラスの作品があるので、本作以降もまだまだスクリーンでの活躍を観ることができます。 あと余談ですが、ジョーン・レスリーとザカリー・スコットの共演シーンを観ていたら、ワーナー時代の「ハリウッド玉手箱」で、スタジオのセットで映画撮影をしている2人がキスシーンを撮っているところに居合わせたジョーンの大ファンの兵士(ロバート・ハットン)が思わず嫉妬してしまうという場面を思い出してしまいました。

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