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激怒 (1936)

FURY

監督
フリッツ・ラング
  • みたいムービー 8
  • みたログ 27

4.32 / 評価:19件

怨み晴らさで措くべきか~

  • bakeneko さん
  • 2018年8月9日 9時32分
  • 閲覧数 289
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

ナチス政権を嫌って亡命したフリッツ・ラングの渡米第一作のスリラー復讐劇で、実際のリンチ事件に想を得て、無実の罪でリンチに架けられた男の復讐を通して、殺人までエスカレートするマスヒステリーに陥る大衆心理の恐怖を映し出しています。

「M」と同様に、大衆の集団心理の暴走の恐ろしさを描いた作品ですが、集団による裁定=リンチ処刑で終わった前作と異なり、リンチのその後の裁判を克明に見せる裁判劇に重点が置かれています。

ジョー・ウィルスン(スペンサー・トレイシー)は、離れ離れで働いて結婚資金を貯めていた婚約者のキャサリン(シルビア・シドニー)と念願かなって結婚するために西部を横断中、誘拐犯に間違えられて拘留されてしまう。田舎の住民は滅多に無い犯罪に興奮し、保安官事務所を襲撃して放火しジョーを殺そうとする。誰にも見つからずに間一髪で難を逃れたジョーは事件現場が全焼していることを利用して兄弟に指示し、リンチに関わった住民を裁判で死刑にしようとする…。というお話で、映画の前半は不条理サスペンス、後半は裁判劇と二段構えの構成になっています。
ナチス政権下のドイツの国家レベルのマスヒステリーから逃れてきたラングが「怪人マズゼ博士」、「M」と同様に集団心理の恐怖を描いたアメリカ版で、不気味な余韻を残したドイツ作品群と異なる明朗なハリウッド=アメリカ式決着に、ファシズムの本質と恐ろしさに楽観的な1936年当時のアメリカの世相を見ることもできますよ!

ねたばれ?
1、 犬のレインボーは複数の犬で演じていますが、その中の一匹は「オズの魔法使い」のトト役の名犬であります。
2、 ヒロインは裁縫が下手です
3、 で、誘拐された女の子はどうなったんだ?

(おまけー同じ事件を元ネタにした映画の御紹介を…)
ボーリングを一人で遊んでいる男には要注意!
「群狼の街」(1950年アメリカ 92分)監督:サイ・エンドフィールド 出演:フランク・ラブジョイ、キャサリーン・ライアン、ロイド・ブリッジス、リチャード・カールソン
1933年に米国で実際に起きた、殺人犯に対するリンチ事件を題材にしたジョー・パガーノの小説を映像化したもので、カリフォルニアで家族を抱えて失業に喘ぐ主人公が偶然知り合った恰幅の良い男に犯罪に引き入れられてエスカレートしてゆき、やがて誘拐殺人事件で逮捕され、正義漢を自認する新聞記者の扇情記事によって煽られた暴徒市民によってリンチにかけられてゆく転落記を、アメリカの消費社会の暗部と集団ヒステリーの中に浮かび上がらせています。

原作は「死刑台のメロディ」の元となった“サッコ・ヴァンゼッティ事件”を始めとした、“マスメディアによる集団ヒステリー”がアメリカに吹き荒れた世相を象徴する事件を記したものですが、戦後の1950年に作られた本映画は1930年代に擬えながら、“マッカーシズム(=赤狩り)が猛威を振るい反共ヒステリー洗脳にマスコミが狂奔している”現在を批判している内容となっていて、集団リンチのシーンは「イナゴの日」の元ネタになっています。
主人公の息子役のロイド・ブリッジス以外は、地味な実力派俳優が出演している作品ですが、個々のキャラクターの性格付けや掘り下げも的確にタイプ別の人間を描きこんでいる傑作で、本作の出来栄えが良過ぎた為に、監督のサイ・エンドフィールド自身が赤狩りでアメリカを追放されることになった“アメリカ=マスコミ社会の暗部”を再確認しましょう!


ねたばれ?
本作と同じ事件を題材にした、フリッツ・ラングの「激怒」(1936)は中盤までは同じ設定ですが、終盤からエンディングへの展開が大きく異なります―見比べてみましょう!

詳細評価

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