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港の女 (1928)

SADIE THOMPSON

監督
ラオール・ウォルシュ
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3.80 / 評価:5件

マイルストンの「雨」より面白い

  • すかあふえいす さん
  • 2014年7月12日 13時55分
  • 閲覧数 227
  • 役立ち度 2
    • 総合評価
    • ★★★★★

サマセット・モームの短編を映画化した、ラオール・ウォルシュの傑作。
同じ短編の映画化でルイス・マイルストンの「雨」は俺にとっては退屈だったが、この作品はとても面白かった。
「雨」はジョーン・クロフォードの存在が凄かったが、「港の女」も製作を兼ねたグロリア・スワンソンの存在感と演技が圧巻。
「雨」は初っ端から雨が降りしきるが、「港の女」は最初晴れた空から始まる。そこから雨季に入り雨が延々と降り始めるのだ。
デヴィッドソン神父とサディ・トンプソンの“闘い”のゴングを打ち鳴らすように・・・。
物語の舞台は南洋のサモア諸島。
ファーストシーンの手紙のやり取り、颯爽と登場するミス・トンプソンことサディ・トンプソン(グロリア・スワンソン)。
男たちを振り回す自堕落な娼婦である彼女は、本土に戻れば監獄行きのワケ有り女。南洋の島に逃げて来ていたのだ。
ウォルシュらしいテンポの良さと、グロリア・スワンソンのエネルギッシュな演技も相まってとにかく面白い。
外は雨が降り始め、ホテルの中はトンプソンたちの乱痴気騒ぎ。最初12分はトンプソンたちの狂乱で笑わせてくれる。
そして12分が過ぎ、いよいよデヴィッドソン神父とミス・トンプソン、最初の“闘い”が始まる。
熱烈な信仰者であるデヴィッドソンは、自堕落で他人の迷惑も考えないトンプソンを放っておけない。
伝染病の検疫のために島に来ていたデヴィッドソンだが、彼は悪魔的に騒ぐトンプソンの心が“病んでいる”と思ったのだろう。
スワンソンとバリモアの口論。サイレント映画だが、今にも二人の怒声が聞こえんばかりの迫力。
そんなデヴィッドソン神父を殴りつける屈強な男。彼はトンプソンを愛するオハラ軍曹。
粋な登場をしたオハラだが、この作品も粋な場面がいっぱいある。
煙草で“キス”する場面とか、
雨が降りしきる中でトンプソンとオハラが会話するやり取りとか、
オハラがトンプソンをおぶって走る場面とか・・・ユーモアもたっぷり。これらのシーンは「雨」でも描かれていた。
特に雨どい?でウォルシュと会話を交わすスワンソンの表情が色っぽくて可愛いのなんのって。
でも、中盤の雨のシーンでフィルムがぼやけるのは演出?それともフィルムが劣化しているのかな。いずれにせよ不思議な場面だ。
しかし、あのアルバム写真はなんなんだよ。首の取って付けた感じが酷い(笑)…その直後にオハラの元に届く“手紙”との温度差。
オハラが中々トンプソンの元に来れなくなると、今度はデヴィッドソン神父がちょくちょく来るようになる。
神父はトンプソンを“善人”にしようと彼女に働きかけ続ける。
しかしどんな手もトンプソンには通じない。気のせいか、食事中の神父の顔が極悪人にしか見えねえ。
物凄い剣幕で神父を罵るシーンの凄味といったら!
スワンソンを抑えるウォルシュがおっぱいに触っているようにしか見えない俺は死んでしまえばいいですねハイ。
しかし、神父も“奥の手”を使ってくる。
コレには流石のトンプソンもタジタジ。さっきまであれだけ喰ってかかっていた彼女の狼狽振り。神父に助けを求める場面はややオーバーアクトな気もするが、それだけ心がグラついているシーンなんだろう。
ただ、デヴィッドソンも責任感の強い男だ。彼女の“心の病”を救おうと懸命に努力を続ける。
トンプソンは厚化粧を止め、髪もおろして“おしとよかな”女性に変貌。オハラはその様子にショックを受ける。
「貴様サディに何をしたんだ!」と言わんばかりに神父を殴ろうとするオハラ。しかし、心を改めた彼女の様子を見続ける事で、オハラもそんな彼女を改めて受け入れる。オハラもまた男…。
デヴィッドソン神父もまた、そんな彼女の生まれ変わった姿を見てすっかり彼女に“惚れてしまった”ような素振りを見せる。
そして、自分の役目が終わった事も悟っただろう。彼はトンプソンと“最期”の会話を交わす…。
このシーンは、何故か紙芝居のようにスチールと字幕だけで語られる。どうやらこの部分のフィルムは失われてしまっているようだ。
神父は、トンプソンに対して芽生えてしまった“肉欲”を殺すために、己の肉体ごと葬ってしまった。雨があがり、浜辺の猟師の網にかかる遺体…。
フィルムはまたもスチール写真と字幕のみで語られていく。終盤の大部分のフィルムも失われてしまっているのか…。
トンプソンは、彼の死にショックを隠せない。それは悲しみでもあり、怒りでもあった。
彼女は、自分のために死を選んだ男の心を理解できなかったのだろう。
「男なんてみんな豚よ!豚ばっかりだわ!死んじゃったら何にもならないじゃないのよっ!バカヤロー!!」って感情が字幕から伝わってきた。
トンプソンは、再び娼婦の格好をしてオハラと行動を共にする…。
うーむ、ラストのフィルムが残っていないのが惜しまれる。それでも充分すぎるほど凄さを堪能できる作品だった。

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