ロザリンドが登場するとコメディになる
- rup***** さん
- 2018年3月11日 22時37分
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- 総合評価
第一次大戦下におけるアメリカとドイツの諜報戦を描いたスパイ映画の一種。
ウィリアム・パウエルが演じる暗号に精通したアメリカ軍中尉ゴードンが、陸軍省諜報部の仲間と共にドイツ軍の暗号解読に懸命に取り組む一方、アメリカ側の暗号がドイツ軍に解読されてしまい、その原因となる情報漏れのルートを探って国内に潜伏するドイツのスパイ組織を炙り出そうとするスリリングな展開が繰り広げられますが、本作は、同時にコミカルな要素もたっぷり含まれているMGM映画らしさのある娯楽作です。
パウエルのユーモア溢れるダンディな魅力を堪能できることもさることながら、本作は、何と言っても、相手役のジョエルを演じているロザリンド・ラッセルの存在が光っています。
ゴードンのことが好きになったジョエルが、自分の思い込みのみで行動するので全くもってはた迷惑な存在なのですが、彼女がいることによって、硬くなりがちなストーリーが見事に中和されるという絶妙な配役。
前線に出たがっているゴードンを叔父である陸軍省次官補に手を回して事務方に配置換えさせてしまうところから始まって、ゴードンが疲れているようだからと勝手に飲み物に睡眠薬を混ぜてみたり、ゴードンがドイツ側のスパイの女に探りを入れるために近づいているのに2人の関係を疑って嫉妬心を燃やしたりと、やりたい放題の珍活躍!
敵に捕まって拘束されても、マシンガンで命を狙われても、事の真相を全く知らずにいて、それらをゴードンの仕業だと思ってしまう能天気ぶりを見せるといった具合に、彼女1人がトンチンカンな存在としてストーリーに入り込むというスクリューボールコメディ的なシチュエーションの面白さを楽しむことができます。
「城砦」のような地に足の着いた堅実な妻といった真面目な役も難なくこなしてしまうのですが、コメディエンヌをやると水を得た魚のように生き生きとしてくるロザリンド・ラッセル。
この当時パウエルとの名カップルで多くの共演作があるマーナ・ロイだとこういう味は出ないので、ロザリンドの起用(本作が出世作とのこと)は大正解といった感じです。
ラストもロザリンドが見事なオチをつけてくれます。
脇を固める俳優陣をみると、シーザー・ロメロが出ているものの、まだスクリーンデビューして間もない頃なので三枚目担当ではなく、シリアス一本の役柄。
また、ビニー・バーンズがタイプキャストではありますが、ドイツ側スパイの悪女オリヴィアを演じて雰囲気を出しています。途中、ジョエルが選んだダッサい服を着て現れるシーンは思わず笑ってしまいましたが・・・。
さらに、怪奇映画でお馴染みのライオネル・アトウィルも出ていますが、本作ではちょっと気の毒な役でした。
《本作は、廉価版で出ている10枚組の戦争映画BOXに収録されているDVDで鑑賞しました》
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