ここから本文です

銀の靴 (1939)

FIRST LOVE

監督
ヘンリー・コスター
  • みたいムービー 1
  • みたログ 3

3.50 / 評価:4件

おとぎ話の翻案としては最高レベル

  • rup***** さん
  • 2014年12月24日 23時50分
  • 閲覧数 719
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

シンデレラ物語を現代版に見事にアレンジしている作品です。

ディアナ・ダービンが演じるコニーは、両親を亡くしているため、女学校を卒業後、ニューヨークに住む伯父の家に引き取られますが、その家族が星占いに傾倒し現実の生活が見えなくなっている伯母、講釈ばかり垂れて何もしない無気力な従兄、我が儘放題の高飛車なお嬢様の従姉と厄介者ばかりで、コニーはその中でいろいろと辛い思いをすることになります。

とりわけ従姉のバーバラがコニーのことをいいようにこき使い、コニーが好きになった青年テッドと会えるのを楽しみにしているパーティーにも意地悪をして出かけられなくしてしまうのですが、このバーバラをヘレン・パリッシュが演じていて、顔立ちは可愛いのに憎たらしげな役柄が板についています。「庭の千草」の次女ケイと見事に演じ分けていますね。

使用人たちがコニーの味方に付いて彼女がパーティーへ行く段取りを整えてくれるのですが、このパーティーのシーンが本作のハイライトで、大階段や大広間とセットも豪華ですし、コニーならずとも夢の世界へやってきた気分に浸れます。

ここで可笑しいのは、歌を披露するために呼ばれている著名な女性歌手が紹介されると、コニーは自分が指名されたものと思い込んで何の疑いも持たずに堂々とステージへ上がって歌を歌ってしまうところで、このグイグイいく性格は映画の中の彼女ならではのものですが、押しの強い行動と美しく澄み渡った歌声とのギャップというのもスクリーン上のダービンの大きな魅力といえるかもしれません。

歌は『宝のワルツ』『南国のバラ』などヨハン・シュトラウスII世のワルツをミックスして歌詞をつけた"Spring in My Heart"。歌い始めると瞬く間に会場にいる人々を惹きつけてしまいます。コニーの憧れの王子様であるテッドも吸い寄せられるように彼女の近くへと足が向き、彼女を見つめる優しい笑顔がとても印象的です。歌が終わると2人は当然のようにワルツを踊り始め、ヘンリー・コスター監督のファンタジー演出で、周りで踊る人々が次第に消えていき、文字通り2人だけの世界になるのが何ともロマンチック!

テッドを演じるロバート・スタックはこれがデビュー作で、ここでダービンの初キスとなるシーンがあることがこの作品の宣伝要素になっていたようですが、キスシーン自体は意外とあっさりしています。

コニーが夜中の12時までと言われていた時間が来てしまったことに気づくと再び周囲の人々の姿が見えるようになり、急いで階段を駆け下りる途中では、お約束の靴が片方脱げるシーンがきちんと用意されています。ここの階段を下りる場面の構図は、後につくられるディズニーアニメの「シンデレラ」と似ている気がします。

家に帰ると、仕事を口実に家族と関わることを避け続けていた伯父がコニーの味方になってくれたことが分かるのですが、コニーがパーティーに出席していたことを知ったバーバラに散々嫌味を言われ、とうとうコニーは家を飛び出してしまいます。

ここに至って、ついに伯父の堪忍袋の緒が切れ、家族3人の腐った性根に鉄槌が下されます。このシーンには、溜飲が下がる思いがするとともに、ホームドラマとして現代にも当てはまる部分があり、一家の長たる父親のあり方について考えさせられる内容にもなっています。

そして、心に傷を負ったまま女学校に戻ったコニーを待ち受ける運命は…。ラストは"The End"ではなく、おとぎ話らしい締めの文字が表れるのが心地よい余韻に浸れます。

本作では、他にも正攻法でしっかりと聴かせるダービンの歌があり、卒業式の後に同級生たちに囲まれながら噛みしめるように歌う”Home Sweet Home(埴生の宿)”、執事ら使用人たちの前で溌剌と披露する"Amapola(アマポーラ)"、女学校に戻ってから彼女の気持ちを映し出すように切々と歌われる『蝶々夫人』の”One Fine Day(ある晴れた日に)"と、すべてが心に響く歌唱になっていて聴きごたえがあります。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 笑える
  • 楽しい
  • ファンタジー
  • ゴージャス
  • ロマンチック
  • 切ない
  • かわいい
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ