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ハード・ブラッド (1992)

THE MASTER/黄飛鴻'92之龍行天下/龍行天下

監督
ツイ・ハーク
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2.60 / 評価:10件

黄飛鴻系列外傳之龍行天下

  • lamlam_pachanga さん
  • 2012年5月6日 1時12分
  • 閲覧数 681
  • 役立ち度 4
    • 総合評価
    • ★★★★★

86年の『阿羅漢』から本格的に香港映画に参戦したリー・リンチェイは(『少林寺』と『少林寺2』は中国映画)、同作以降、極度の低迷に陥ります。直接の原因は、武術家としてのプライドから出演作を厳選し過ぎたためですが、個人的にもうひとつの要因として考えているのが、マネージメント契約を羅大衛(ロー・ダーウェイ)と結んだこと。実は、この人はブルース・リーやジャッキー・チェンに死ぬほど嫌われたあの羅維(ロー・ウェイ)の息子。結果的に羅大衛の下ではチャンスを掴めず、リンチェイはゴールデン・ハーヴェストへ移籍。これが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ/天地黎明』(91年)への出演に繋がり、見事、古装片スターとして返り咲くことになります。

本作はそんな低迷期のリンチェイ映画のひとつで、米国を舞台にした現代劇ですが、公開にはかなりの紆余曲折があったことでも知られます。

上記の通り、ゴールデン・ハーヴェストに移籍したリンチェイに、早速ツイ・ハークが声をかけます。ふたりは後に『ワンチャイ』シリーズのゴールデン・コンビとして名を馳せますが、実はこの時が初顔合わせ。当時、ツイ・ハークは米国ロケによるアクション映画に固執しており、リンチェイを主演にブルース・リーの『ドラゴンへの道』のリメイクを企画。それが本作で、89年、米国を舞台に撮影が開始されます。

ところが、その陳腐な出来にゴールデン・ハーヴェストは公開を渋り、結局お蔵入り。しかし、91年に『ワンチャイ/天地黎明』、92年には続編『ワンチャイ/天地大乱』が大ヒットとなり、ゴールデン・ハーヴェストは翻意。但し、元々の『ドラゴンへの道』のリメイクと言う触れ込みは霧散し、原題『龍行天下』は『黄飛鴻'92之龍行天下』と改題され、ドサクサに『ワンチャイ』の番外編的立場を手に入れたのです。

公開された映画は見事に年間興行成績59位に沈み、今日に至るまで、キワモノ映画の烙印を捺されることになりますが、とりあえず、そんな本作のあらすじを紹介しときます。

現代の米国。薬店・寳芝林を経営する徳(ユン・ワー)は、格闘会を牛耳ろうとする元弟子のジョニー(ジェリー・トリンブル)の襲撃によって重症を負う。一方、師父の徳を追って渡米してきた弟子の傑(リー・リンチェイ)は、行方知れずの師父を探し出すために奔走。その最中、美女のメイ(クリスタル・コォ)と出会い、ようやく師父と再会を果たすのだが・・・。

正直、ドラマ的には何の見所もない映画です。これがツイ・ハークの映画とは思えないくらいに、あまりに凡庸な出来に終始します。この人の映画は“大当たり”か“大外れ”が常なので、これほど見所に欠ける映画と言うのは、逆に珍しい。演出も編集も雑で、ドラマ、笑い、恋愛など、そこに描かれる全てがチグハグな印象に終わります。

一方、さすがに若きリンチェイのアクションは美しいの一言。この映画の原題に『黄飛鴻』の文字が刻まれているのは(寳芝林は登場するけど黄飛鴻は全くの無関係なのに)、リンチェイ、これ即ち黄飛鴻と言うことなのでしょう(笑)まあ、リンチェイ、ユン・ワー、ジェリー・トリンブルが披露するアクションの質は高く、それだけで満足出来る稀有な人(私)もいるのでしょうが、どうせならもう少し細部を煮詰めて欲しかった。

但し、ツイ・ハークは、恐らく本作撮影中に、『ワンチャイ』(つまり古装片)でのリンチェイ起用を決断したのだろうと推測されます。と言うのも、劇中、やたらと後の『ワンチャイ』シリーズを彷彿とさせる演出が為され、例えば、後にリンチェイの代名詞ともなる“見得”を切る場面や、ジョニーの手下を迎え撃つ場面に滲み出る雰囲気は、そのまま『ワンチャイ』でも確認出来ます。本人たちが言及してるわけではないですが、この映画が、意図せずして『ワンチャイ』の習作となっているのは間違いところでしょう。

と言っても、だからこの映画をお薦めするわけじゃありません。

まあ、余程の功夫映画ファンでもない限り、手を出さない方が無難。あちこちで指摘されてる通り、この映画でのリンチェイのファッション・センスとか・・・ファンにはショックでしょうから(苦笑)

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